就活の現場で噂されるのが、大学別に採用枠を変える「学歴フィルター」の存在だ。作家で人材コンサルタントの常見陽平氏は「学歴差別はある」と断言する。その実態を紹介する。
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「学歴差別は、あります」
STAP細胞の記者会見での小保方さん風にこう叫びたいです。いや、STAP細胞の存在は証明しきれませんでしたが、学歴差別はあるのです。
このたび、最新作『「就活」と日本社会』(NHKブックス)という本を発表しました。2012年から2014年にかけて大学院に通ったのですが、そこでの修士論文をまとめ直したものです。この本で明らかにしたテーマは「平等、自由競争を装った差別」です。なぜ就活の選抜は不透明になるのか、なぜ学歴差別が行われるのかということに迫った1冊です。
特に「学歴差別」に関することについてはまるごと1章その検証に使っています。いや、1冊を通じて、どの章でも学歴差別・区別については触れています。
ここで質問ですが、皆さん、ある大学の学生がA社を受けるとします。A社のエントリー数は毎年約5000人、採用人数は50人です。この学生さんは、「誰」と競争しているでしょうか?
普通に考えれば、自分以外の4999人が敵になります。いや、一緒に内定をする人を味方だと捉えたとしても、4950人を蹴落として、50人の枠に入る競争だと考えます。一般的にはこのように考えることでしょう。これをパターン1とします。
しかし、これだけではありません。最低、もう3パターン存在します。
パターン2:エントリーは自由だが、学校ごとの枠があるパターン
エントリーは自由に受け付けるものの、50名のうち、東大は5名、早慶は8名ずつ、明治は5名・・・。というように、大学によって枠を設けている場合があります。この例で言うと、例えば明治大学の学生は、同校からの応募が100名いたとした場合、95名を蹴落とし、5名に入る競争となります。つまり、ライバルは明治大学の仲間たちということになります。
パターン3:エントリーの段階で学校名、偏差値で絞っているパターン
例えば、旧帝大クラス、早慶クラスのみ、偏差値63以上や56以上などに区切っている場合です。とはいえ、その先に大学ごとに枠があるわけではないというパターンです。
この場合、指定した大学名や、偏差値の基準を満たした応募者が5000名中500名だった場合、450名を蹴落とし50名の中に入る競争になります。