「軍人は今後、給料を主な生活の糧とするように。決して、いわゆる『灰色収入』や『違法収入』に頼ってはならない。さもなければ、(当局の)調査を受けて、追及されることになる」──。これは習近平・中国国家主席が1月中旬、北京で開かれた中国共産党中央規律検査委員会の総会で語ったものだが、この発言が中国で波紋を広げている。
というのも、習発言を裏読みすると、軍人はこれまでで給料に頼らず、汚職などの賄賂が収入だということになってしまうからだ。ネット上では、「習主席が軍の腐敗蔓延を間接的に認めたことになる」との指摘も上がっている。
この発言は、国営新華社電など公式メディアは報じておらず、軍機関紙「解放軍報」の中国版ツイッターである「解放軍報法人微博(ウェイボ)」が18日、初めて明らかにした。
習氏が中央規律検査委の総会という公式の場で、このような発言を行なったのには理由がある。それは1980年代や1990年代、軍の給料は極めて低く、一般の兵士の月給は10元、20元というのは当たり前で、将校クラスでも100元から数百元程度だったからだ。
軍の場合は、衣食住など生活に関する経費はすべて軍から支給されることから、当時は給料が低くても生活はできたが、その後、改革・開放政策が進んでいくと、幹部も官舎の他に、マンションで生活するなど、物入りになってきた。このため、低い賃金では生活ができず、腐敗に手を染めるという悪しき風潮が蔓延した。
このため、軍は改革の一環として、給与水準を上げるようになり、いまでは少尉クラスの月給は3000元(約6万円)、佐官クラスでは5000元(約10万円)から6000元(約12万円)とかなり上がっている。これは一般の公務員と同じ水準で、中国都市部の平均年収5万1474元(約103万円)よりも少し高め。