生活習慣病のひとつ高血圧は「日本人の国民病」ともいわれ、収縮期血圧/拡張期血圧のどちらか一方、あるいは両方が140/90mmHg以上になる病気だ。患者数4300万人と生活習慣病の中で最も多いこの病気に対しては、厚生労働省もさまざまな調査を行なっており、平成25年の1年間では高血圧性疾患で年間7165人が死亡(平成25年人口動態調査)、高血圧性疾患の年間医療費は1兆8740億円にも上る(平成24年度国民医療費の概況)としている。
特に注目されるのが収縮期(最高)血圧で、140mmHg以上は、女性29.6%に比べて男性では38.3%と、男性の方が約10%も高血圧の人が多い(平成25年国民健康・栄養調査)。そのため男性同士が健康について話す際、血圧が話題になることも多いだろう。そんな高血圧に対して、愛知県蒲郡市が行政としてある取り組みに参加し、先日その中間報告が都内で行なわれた「チョコレートの機能性と健康生活」セミナーで紹介された。
同市では周辺地域に比べて高血圧などの生活習慣病患者が多く、市民の血圧対策として、全市をあげユニークな実証実験「チョコレート摂取による健康効果に関する実証研究」に参加。その内容は、蒲郡市内外の45~69歳までの347人が4週間にわたり、カカオポリフェノールを多く含むチョコレートを毎日25g摂取し、摂取前後の血圧やコレステロール、体重などを比較したもの。
その結果、「チョコレートを摂取した後、血圧が有意に下がった」ことが明らかになった。また、血圧が正常な人(265人)と高血圧の人(82人)に分けた分析では、正常な人が平均1.62mmHgの低下だったのに対し、高血圧の人は平均5.86mmHgも低下。収縮期血圧の平均が、145.6mmHgから139.744mmHgに改善されたという。
チョコレートを使った実証研究として、ここまで大規模な研究は日本で初めての実施とのことで、同研究を監修する愛知学院大学・心身科学部の大澤俊彦教授は、こう話す。