ここ数年、順位に変化が見られる『住みたい街ランキング』。便利だが今まで住まいとして人気のあるエリアではなかった池袋、新宿は、この1、2年でランキングが上昇してきている。
全体的に家賃が下がっている今、“より便利な場所に住みたい”と人気が都心に寄っている傾向があると、住まいや街情報の専門家・中川寛子さんは語る。新宿でも特に西新宿は、再開発で住宅が増え、デパートも商業施設もあれば大きな公園もあり、住みやすくなったことで人気が上がっているという。
では、これから住みやすくなる意外な穴場は? 単身、ファミリーそれぞれにとって今住みやすい街はどこだろうか? 不動産・住宅情報サイトなどが発表している『住みたい街ランキング』とは別に、街事情に詳しい中川さんが注目する街を教えてもらった。
単身者におすすめするのは、東急目黒線の西小山、世田谷線の松蔭神社前、副都心線の雑司ヶ谷。それぞれ古く、主要駅に比べて忘れられていた“谷間”な街だが、新しい店も増えて個性がある。しかも“ちょっと谷間”だった分、家賃が比較的安く、実は便利な立地。そしてどこも街全体が動き始め、元気になりつつある街だという。
「大きな街よりも人の顔が見える規模で、しかも地元をなんとかしようと人が動いている場所のほうが住みやすいと思います。武蔵小山の隣の西小山は、若い人が増えて、自分たちでPR誌を作ったりイベントをやるなど元気があります。商店街は地味だけど品揃えがいいと人が集まっていますし、武蔵小山が再開発するということで、古さと新しさがいい感じに混ざっているのが面白い。
松蔭神社前も、商店街がすごく元気。新しい店も増えて、わざわざ遠くから食べに来る人もいる定食屋さんやラーメン店、レベルの高い蕎麦屋さんがあったり…。といいながら吉田松陰を祀る松蔭神社や古い街なので銭湯があったりと趣があり、ひとり暮らしを楽しめる街です。雑司ヶ谷は、著名な文化人が眠る雑司ヶ谷霊園をはじめ緑も多く、古い町並みが残っていて町歩きを楽しめます。隣の東池袋に区役所が移転する影響もあって変わりつつある。これから利便性が良くなる街だと思います」
ファミリーにとって住みやすいのは京王線の調布、そして千葉の松戸だという。
「調布と府中は、行政サービスがよく住みやすいということで、もともとカップル、ファミリーに人気の街です。図書館や児童館や設備が手厚く、駅前が繁華で、少し離れると公園も緑もある。調布は京王線の地下化もあって駅前が変わってきていますし、住民発信で街を知ろうと町歩きイベントが企画されたり、地元のいろいろな活動が行われていて非常に面白い。もともと地盤のいいところではありますが、街の防災活動をしっかりしているところも安心です」