自宅玄関の扉を開くと、いきなりお宝文具の数々がドドーン!とお出迎え。1世紀前の舶来ホッチキスなど、さながら博物館のような品揃えに思わず圧倒されてしまう。
部屋に入ると、天井まで積み上げられたプラケースに文具がギッシリ。明治時代のカタログなど資料も充実している。さすがは「文具王」の肩書を持つ高畑正幸氏。そのコレクションには恐れ入る。
テレビ東京系『TVチャンピオン』全国文房具通選手権で3連覇を果たした高畑氏は、文具の最強検定と呼ばれる「第1回文具知識能力検定」でも、全国1位に輝いた。今回はその豊富な知識の中から、身近な文具に隠された意外な秘密を聞いた。
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●トリビア【1】メーカーによって中身が違う「でんぷんのり」
白くてぷるんとした、「でんぷんのり」。幼少期に親しんだあの懐かしい糊は、メーカーによって主成分が異なるのです。
大手である不易糊の『どうぶつのり』にはコーンスターチ、対して同じく大手のヤマトの『ヤマト糊』にはタピオカが使われている。開発初期は米が主成分でしたが、米の腐敗を防ぐために入れる防腐剤に含まれるホルマリンが規制された。両社ともホルマリン不要の品質改良を重ねた上で、主成分はそれぞれコーンスターチとタピオカに辿り着いたのです。
●トリビア【2】“消せる筆記具”「フリクションボール」の意外な裏技
筆跡が消せる機能で人気のボールペン「フリクションボール」(PILOT)。通常はペンの頭部についたラバーで擦って摩擦熱で筆跡を消すのですが、擦らずに消すこともできるんですよ。
いちばん手軽なのがヘアアイロン。要は熱を与えればいいので、ドライヤーでもOK。寄せ書きをラミネート加工したらプレス熱で文字が消えた、なんていうケースもあります。
消えた筆跡を復活させる裏技もあります。コールドスプレーをかけて冷却すれば、たちまち筆跡がよみがえる。お湯を注ぐと絵柄が浮かぶカップがありますが、あれと同じ原理です。
●トリビア【3】シャープペンシルの「0.5ミリ芯」は0.5ミリではない
恐らく「シャープペンシル」を使っている方に最もなじみがあるのは、「0.5ミリ」の芯だと思います。
実は、その「0.5ミリ」芯、正確には0.5ミリではないんです! JIS規格で決められた太さは、「0.55~0.58ミリ」。(試しに撮影用の替え芯の太さを計ってみたところ、確かに「0.567ミリ」という値)
規格は発売後に作られているので、0.5ミリ台の太さの初期の製品を「0.5ミリ」と表記したことが由来だと思われます。
撮影■木村圭司
※週刊ポスト2015年2月13日号