2016年夏に日本で開かれることが決まっている主要国首脳会議(サミット)の開催地をめぐっては「300億円利権争奪戦」が繰り広げられている。
政府内では8都市が候補地として取り沙汰されているが、うち本命と目されるのは仙台、対抗は広島、そしてダークホースが軽井沢といわれている。
仙台の作戦は「震災復興アピール」だ。誘致活動を行なう宮城県議会自民党関係者が語る。
「安倍総理は一昨年のIOC総会での『福島原発は完全にコントロールされている』という発言が正しかったとサミット開催で世界に証明したがっているはず。そこに乗らない手はない」
そこで仙台は首相に近い村井嘉浩・宮城県知事の旗振りで施設の準備を進め、メーン会場に予定している仙台国際センターに同時通訳設備などを設置。25億円を投じてセンターの増設工事に着工し、年内にはJR仙台駅と国際センターを結ぶ地下鉄も開通する。
地元選出の土井亨・自民党代議士は、「東日本大震災の時、米国のトモダチ作戦をはじめ各国から支援をいただいた。サミットで各国首脳に復興した街を見ていただきたい」と、すでに誘致が決まったかのような口ぶりだ。
「震災復興」を叫べば予算が落ちるという考え自体がいかにも自民党らしい。復興予算を流用してきた悪辣な手法が国民から厳しい目で見られているという自覚はどうも薄い。
広島は「米国ポチ作戦」で対抗する。