2014年10~12月期の国内総生産(GDP)が年率換算で2.2%と3四半期ぶりのプラス成長になった。安倍晋三政権としては景気動向が政権運営に直結するだけに、まずは一安心だろう。
ところが、マスコミには「回復の足取りは重い」「力強さを欠く」といった民間エコノミストたちのコメントが躍った。事前の民間予想は平均3.8%、強気だと4.8%成長を見込んでいたからだ。
これはいかがなものか。自分たちが強気すぎて間違ったのに、それは棚に上げて現実を「物足りない」と言っている。素直に読み間違いを認めたらどうか。だいたいエコノミストの予想が間違ったのは今回が初めてではない。
消費増税絡みで注目された昨年7~9月期は多くのエコノミストが4~6月期のマイナス成長を脱して、プラスにV字回復すると予想していた。ところが結果は2四半期連続のマイナスだった。なぜこうも間違うのだろうか。
信頼するエコノミストに聞いてみると「そもそも内閣府がどうやって数字を作っているのか、ブラックボックスになっている」という。
「たとえば消費は家計調査、設備投資は資本財出荷の統計が基になっていますが、そこから自動車販売などの数字をいろいろ加工している。その加工の仕方が分からない。だから予想が違っても、後で検証のしようがないんです」
GDPは世の中の付加価値をぜんぶ足し合わせた数字というのが定義である。だが、実はそれ自体が推計値だ。政府は推計手法を一応、公開しているが、推計で使うパラメータ(媒介変数)をちょっといじれば、数字は大きく違ってしまう。
だから正確に予想しようと思ったら、政府の推計式とパラメータをすべて当てるしかない。ところが、肝の情報は「門外不出」である。たとえ金融機関が担当者を天下りでお迎えしても外には漏れないのだそうだ。
「なぜかといえば、天下りするような幹部は実務をしてないから。実務を担っているのは、もっと下の人間です」