1月7日、大阪高裁と福岡高裁で、国によるタクシー運賃の強制値上げ命令(運賃変更命令)の差し止めを求めていた仮処分申請で、タクシー事業者らの主張を認める決定が下された。
一般に民間事業者が国を相手に裁判を起こして勝つことはごく難しいとされる。だが、タクシー行政に関しては、これ以外にも、名古屋高裁(2014年5月)、札幌地裁(同)など、事業者側の主張が認められる例が相次いでいる。
今回のケースは、2013年の臨時国会でタクシー適正化・活性化法改正(議員立法)がなされたことに端を発する。この改正により、一定の地域では、タクシーの台数を強制的に減らす措置などのほか、運賃の範囲を国(国土交通省)が指定する制度(公定幅運賃制度)が導入された。
こうしたなか、「公定幅運賃」制度に対し、別の角度からチャレンジする動きが出てきた。 大阪府・大阪市が国家戦略特区を活用し、同制度の適用除外を求める提案を国に行っているのだ。2014年9月の国家戦略特区ワーキンググループでの提案資料によれば、
●大阪の都市魅力の向上のためには、ビジネスや観光で国内外から大阪に訪れる来訪者にとって、利便性と快適性の高い都市となることが重要」だが、「公定幅運賃や新規参入規制、増車規制が適用され、利用者が求めるサービスの選択の幅が制限されることが危惧されて」おり、
●そこで、「安全面・接遇面、労働環境などで一定水準を上回る優良な事業者に対して、運賃や台数についての規制緩和」を求める、との内容だ。
橋下徹大阪市長は同8月、記者会見でこう説明した。
「日本で一番いいタクシー会社が集まってくれるような条件設定をする代わりに、それをクリアしてくれた会社については、料金は自由にやってもらう」
「なんでもかんでもこれは料金を下げるための特区提案ではなく、…いいものについてはいい料金でもいいじゃないかという特区提案だ」