「相談に来たお客様には3つのリスクを説明することになっている。すると、話しているうちに尻込みされる場合が多い」(地銀担当者)

 3つのリスクとはこうだ。まず、長生きして借入金が借入限度額(担保評価額の8割など)を超えたら、それ以上融資が受けられなくなる「長寿リスク」。

 それから地価が下落した場合、借入限度額も下がってしまう「不動産価値変動リスク」。最後に金利が上昇して借りることができる金額が目減りしてしまう「金利変動リスク」である。

 いずれも契約前に月々の受け取る(融資される)金額を計画的に考えれば恐ろしいものではないが、銀行員からリスクを説明されると二の足を踏んでしまう人は多いという。

 リバースモーゲージの利用者が少ない3つ目の理由にして最も大きいと考えられるのは、やはり「思い出のある家」を手放すのにためらいがあるということだ。高齢者からはこんな声が聞こえてくる。

「銀行に行ってリバースモーゲージを検討したが、妻と苦労を重ねて建てたマイホームなので、やはり子供に守ってもらいたいと考えて、進めていた話を白紙に戻した」(70代男性)

 ファイナンシャル・プランナーの紀平正幸氏はこういう。

「老後資金への不安からリバースモーゲージを活用したいという相談は多く受けます。ですが、やはり家を子供に残したいと思い直してやめてしまう人が多い。

 また、利用する際は法定相続人である子供の承諾が必要な金融機関が多く、なかには子供の反対で契約に至らなかったケースもありました」

※週刊ポスト2015年3月13日号

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