那覇から車で1時間。日本ハムのキャンプ地・名護市営球場に、“球界の黄門様”こと金田正一氏が降り立った。お目当ては二刀流・大谷翔平である。
「ワシは投手として最多本塁打記録(38本。うち代打本塁打2本)を持つ“元祖二刀流”じゃ。敬遠も8回されとる。ワシがしっかり大谷の実力を見極めてやろう」と語る金田氏が早速、大谷に迫った。
金田:おおーっ、大きいなあ。身長はナンボあるんだ?(と、184センチのカネやんが下から見上げる)
大谷:193です。
金田:この人(自分を指差す)のことを知っとるか?
大谷:もちろんです。テレビで拝見していますし、白黒映像ですが、投げているシーンも何度か……。アイシングをしていたので、お待たせしてしまってすみませんでした。
金田:いい青年だ。しかしなぜアイシングをするの?
大谷:小さい頃からやっていたので。気休めの部分があるかもしれませんが、翌日が楽なんです。やらないと落ち着かないというか。
金田:ワシはアイシングには絶対反対なんだよ。体は決して冷やしてはいけない。ワシが冷やさずにどのくらいのイニングを投げてきたのかは知っているか?
大谷:すみません、分かりません。
金田:(取材場所にいた球団広報に声をかけて)広報さん、一度資料を見せてやってくれんか。20年で5526イニングじゃ。多い時は年間400イニング投げた。
大谷:そうなんですか……(と驚きの表情)。
金田:ま、自慢はいいか(苦笑)。開幕投手に指名されたんだってな。
大谷:はい。やりたいという気持ちはありましたが、こんなに早く言われるとは思っていませんでした。
金田:この人の現役時代は、指名されると侮辱だったのよ。わかるか?
大谷:え?