昨今の日本はとかく「右傾化」などと海外メディアから評されるようになっている。そして、日本の言論空間を一変させたベストセラー『戦争論』から17年、小林よしのり氏が改めて世に問うた『新戦争論1』(幻冬舎刊)が話題を呼んでいる。『戦争論』では「戦争に行きますか? それとも日本人やめますか?」と問うた小林氏は、今作では一転して戦争に向かおうとしている現在の日本の空気に疑問を呈している。その意図を小林氏が語る。
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わしは「ネトウヨの生みの親」と言われているから、「『戦争論』はよかったのに、小林よしのりは変わった」と叩かれている。だが、わしは何も変わっていない。
わしは17年前、『戦争論』において、「有色人種を下等なサルとしか思ってなくて 東アジアを植民地にしていた差別主義欧米列強の白人どもに…目にもの見せてくれた日本軍には拍手なのである!」と大東亜戦争を肯定した。しかし、あの戦争を認めることと、いまこの国がやろうとしている対イスラム国の戦争を認めることは全然違う。
なぜならいまと違って当時の日本人は、自分たちの戦争を戦ったからだ。どこかの国に追従したわけじゃない。いまよりもっと厳しい帝国主義の時代に、どの道に進んでいくのが日本のためなのかを国民全体が考え、戦うことを決断した。
だからこそわしは、「だまされていたのではない 信じていたのだし 今も信じられる すべて日本人が自ら決断し 戦って敗れてなお 我に正義はあったのだ!」と断言したのだ。
ところが、『戦争論』はある意味で誤読された。その一つが、むかしの日本人は凄かったのだから、いまの日本人も凄いということ、もう一つが、あの戦争が正しかったのだから、全ての戦争が正しいということだ。