日本ハムのキャンプ地・名護市営球場に、投手として最多本塁打記録(38本。うち代打本塁打2本)を持つ“元祖二刀流”金田正一氏が降り立った。お目当ては二刀流・大谷翔平である。金田氏が、大谷に迫った。
金田:今季からワインドアップに変えたそうだな?
大谷:ハイ、もともとワインドアップで投げていたんですが、昨年の最初の頃にセットで投げるように変えたんです。僕は身長もそれなりに大きい(193cm)ですし、(大きな動きになると)キャッチャーの方にうまく方向付けができなかったので、最初から横を向いてある程度方向を決めて、小さい動きの中で投げようと思って始めました。安定してきたら戻そうと思っていたんです。
金田:頭のいい子じゃ、よ~く考えとる。
大谷:結局、昨年はシーズンの最後までセットでいったんですが、動きが小さくなりすぎてしまったところもありました。だから戻してみればどうなるか、試しているところなんです。
金田:セットなんか気まぐれにやればいいんじゃよ。プロ野球でちょこっと活躍した者として言わせてもらえばな……、あ、ワシ、野球がちょっとだけうまかったんだけどな。
大谷:いやいや(と苦笑)。
金田:投手は馬力に利用できるものは何でも利用しないといけない。それだけの体があって、ワインドアップで襲いかかってくるようなピッチングをされたら打者はたまらんと思うぞ。他にピッチングでこだわっているのはどんな点だ?
大谷:やはりスピードが僕の一番の売りなので、今よりもさらに伸ばしていきたいと思っています。
金田:だがスピードは数字で競争しても仕方がないぞ。いいカーブやフォークを持っているんだろ?
大谷:ハイ、いいかどうかは分かりませんが(笑い)。
金田:それならナンボでも相手にスピード感を与えることができる。存在感を増していくには、誰にも投げられないくらいのストレートを磨き、他の球種を使ってそれをさらに速く見せる投球術を身につけることじゃ。ときに、体のケアには気を配っているか?
大谷:僕には専門的な知識がないので、解剖学などにも通じたトレーナーの方に体の仕組みを解説してもらいながら、体の手入れのやり方を教わっています。
金田:どれ、ヒジを見せてみろ(と、ヒジや腕を触り始める)。うん、いいヒジだ。まだ曲がってないようだな。
大谷:真っ直ぐです。ヒジや肩はこれまで1回も痛くなったことはありません。
──ここでカネやんが、大谷の右手人差し指と中指の間にできたタコを発見。