ビジネス

ファミマが口火を切るコンビニ再編 消費者メリットはあるか

セブン追撃に意欲見せるファミマ・中山勇社長(右)

「万年3位という立場にいると、どうしても2位に追い付こうと2位と似た商品やサービスを考えるなど、発想が貧困になりがちだった。それが規模の追求によってもっと高いレベルの発想ができるようになる」

 3月10日、大手GMS(総合スーパー)であるユニーグループホールディングスとの合併協議スタートに伴い、同社傘下のサークルKサンクスとの経営統合(来秋予定)をぶち上げたファミリーマート。同社の中山勇社長は、コンビニ業界の勢力図塗り替えに意欲満々だった。

 中山氏のいう「2位」とはローソン。記者会見で「真っ向勝負ができる規模」と狙いを定めたのは、コンビニ業界で一人勝ちを続けるセブン-イレブンのことである。確かにファミマとサークルKサンクスが一緒になれば、売上規模(2兆8800億円)でローソンをはるかに凌ぐばかりか、店舗数も1万7000店となり、セブンとほぼ同規模になる。

 統合にあたり店のブランド(看板)は一本化される予定だ。会見では明らかにされなかったが、「海外も含めた店舗数、商品戦略で勝るファミマ主導になるのは間違いない」(経済誌記者)という。

 仮にサークルKサンクスの店舗がすべてファミマにくら替えしたとして、消費者にはどんなメリットがあるのだろうか。流通アナリストでプリモリサーチジャパン代表の鈴木孝之氏が解説する。

「例えば、同じ商品の開発でコンビニ間の戦いが起きた場合、店舗数が多くて発注数量が見込めるチェーンのほうがメーカーとの交渉を優位に進められますし、仕入れ原価も安く済んで粗利率の改善につながります。近年ヒット商品が数多く生まれているPB(自主企画)展開の可能性も広がります。つまり、消費者にとっては魅力ある商品が増えることになります」

 こうしたスケールメリットを追求した戦略の青写真を描いているのは、ファミマに37%、ユニーグループに3%出資している総合商社の伊藤忠商事だ。

「いまや商社は世界的な不況に伴い、事業の軸足を非資源分野に移しつつあります。特にコンビニを筆頭に大手小売業と次々に業務提携(出資)し、原材料の調達から卸業務、商品開発や物流まで広範に携わっています。

 伊藤忠も例外ではありませんが、加熱するコンビニ競争で息切れしていたファミマとサークルKサンクス、深刻な業績不振に陥るGMSのユニーという“流通川下戦略”の立て直しが急務だったのです」(前出・鈴木氏)

「コンビニ経営は形を変えた商社の代理戦争」(流通関係者)といわれるほど、商社の意向が強く反映される業態。三菱商事はローソンと、三井物産はセブン&アイホールディングスと資本関係があり、伊藤忠はコンビニ事業では長年上位2社の後塵を拝してきたが、ここにきて形勢逆転の道筋をつけた格好だ。

関連キーワード

トピックス

渡邊渚さんの最新インタビュー
元フジテレビアナ・渡邊渚さん最新インタビュー 激動の日々を乗り越えて「少し落ち着いてきました」、連載エッセイも再開予定で「女性ファンが増えたことが嬉しい」
週刊ポスト
お笑いコンビ「ダウンタウン」の松本人志(61)と浜田雅功(61)
ダウンタウン・浜田雅功「復活の舞台」で松本人志が「サプライズ登場」する可能性 「30年前の紅白歌合戦が思い出される」との声も
週刊ポスト
4月24日発売の『週刊文春』で、“二股交際疑惑”を報じられた女優・永野芽郁
【ギリギリセーフの可能性も】不倫報道・永野芽郁と田中圭のCMクライアント企業は横並びで「様子見」…NTTコミュニケーションズほか寄せられた「見解」
NEWSポストセブン
主張が食い違う折田楓社長と斎藤元彦知事(時事通信フォト)
【斎藤元彦知事の「公選法違反」疑惑】「merchu」折田楓社長がガサ入れ後もひっそり続けていた“仕事” 広島市の担当者「『仕事できるのかな』と気になっていましたが」
NEWSポストセブン
「みどりの式典」に出席された天皇皇后両陛下(2025年4月25日、撮影/JMPA)
《「みどりの式典」ご出席》皇后雅子さま、緑と白のバイカラーコーデ 1年前にもお召しのサステナファッション
ミニから美脚が飛び出す深田恭子
《半同棲ライフの実態》深田恭子の新恋人“茶髪にピアスのテレビマン”が匂わせから一転、SNSを削除した理由「彼なりに覚悟を示した」
NEWSポストセブン
保育士の行仕由佳さん(35)とプロボクサーだった佐藤蓮真容疑者(21)の関係とはいったい──(本人SNSより)
《宮城・保育士死体遺棄》「亡くなった女性とは“親しい仲”だと聞いていました」行仕由佳さんとプロボクサー・佐藤蓮真容疑者(21)の“意外な関係性”
NEWSポストセブン
過去のセクハラが報じられた石橋貴明
とんねるず・石橋貴明 恒例の人気特番が消滅危機のなか「がん闘病」を支える女性
週刊ポスト
女優の広末涼子容疑者が傷害容疑で現行犯逮捕された(写真は2019年)
《広末涼子逮捕のウラで…》元夫キャンドル氏が指摘した“プレッシャーで心が豹変” ファンクラブ会員の伸びは鈍化、“バトン”受け継いだ鳥羽氏は沈黙貫く
NEWSポストセブン
大谷翔平(左)異次元の活躍を支える妻・真美子さん(時事通信フォト)
《第一子出産直前にはゆったり服で》大谷翔平の妻・真美子さんの“最強妻”伝説 料理はプロ級で優しくて誠実な“愛されキャラ”
週刊ポスト
「すき家」のCMキャラクターを長年務める石原さとみ(右/時事通信フォト)
「すき家」ネズミ混入騒動前に石原さとみ出演CMに“異変” 広報担当が明かした“削除の理由”とは 新作CM「ナポリタン牛丼」で“復活”も
NEWSポストセブン
万博で活躍する藤原紀香(時事通信フォト)
《藤原紀香、着物姿で万博お出迎え》「シーンに合わせて着こなし変える」和装のこだわり、愛之助と迎えた晴れ舞台
NEWSポストセブン