少しずつ春らしい陽気になり、休日の外出予定を立てている人も多いだろうが、関東を中心に今がピークの花粉症患者にとっては、そんな気分にさえなれないはず。
東京都福祉保健局が情報発信する「とうきょう花粉ネット」の予報マップ(3月11日)を見ると、1立方メートルあたりの花粉個数が「極めて多い」を示す赤色で塗りつぶされ、東京全域をすっぽりと覆っている。
〈予報を見るだけで鼻がムズムズする〉〈ヤバイ、死ぬ!〉といった悲鳴がネット上に溢れた。
東京都内を流す個人タクシーの運転手はこんな話をする。
「朝から勤務して夕方にもなると、タクシーの窓にはびっしりと花粉がこびりつきます。濡れたタオルで拭き取ると見事なまでの“真っ黄色”。顧客の中には重い症状の人もいて、先日は会社を休んで寝込んでしまったそうです」
だが、いくら出掛けずに家にこもっていても花粉症が完治するわけではないし、内服薬や目薬・点鼻薬、マスク、ティッシュ……と対策商品の出費は否応なくかさんでくる。
一体、花粉症患者は予防や治療にどのくらいお金をかけているのか。千葉県在住で「花粉症歴30年」という40代男性(自営業)が話す。
「私の場合、スギやヒノキだけでなくイネ科の植物でもアレルギー反応を起こすので、花粉症は梅雨明けまで続きます。
近所の耳鼻科に行けば受診料とクスリ・目薬・点鼻などの処方代で1か月4000円ほど。それらを市販薬で代用しても2500円程度はかかります。その他、マスクやのどあめなど例年買っている物を合計すれば、1シーズンに2万円以上は花粉症対策に使っていると思います」
2013年の「家計調査」(総務省統計局)によれば、市販の鼻炎薬を含む「他の医薬品」の月別支出額(2人以上世帯)は花粉の飛散が始まる2月がもっとも高く1594円となっている。
また、2月、3月は他の月と比べてティッシュペーパー(239円)、マスク(保健用消耗品・734円)、目薬(他の外用薬・337円)などの支出額も総じて高い傾向にある。この時期、鼻炎薬を含めたこれら花粉症関連の4品目が売れているというわけだ。