私自身も2014年に近大取材に取り組み、『なぜ関西のローカル大学「近大」が、志願者数日本一になったのか』(光文社)を上梓しました。

 しかし、正直に言って、取材を進め本の執筆に取り組んでいる最中も、その人気が本当に持続するのか、一年だけで終わってしまうのかは未知数でした。近大関係者自身も「不安はある」と口にしていたくらいですから。

 ただし、取材を進めていく中で、近大の「複眼的」な取り組みが次々に見え驚かされたこともまた事実でした。受験生世代にアプローチするのは大学として当然のことですが、近大の射程範囲は若年層や教育界に留まってはいなかったのです。

 食料問題・資源枯渇問題への対処としての、「養殖」技術。再生エネルギー問題に一つの回答を出した、バイオコークス技術。民間企業からの受託研究実施件数が全国1位(平成25年度。本の取材時は3位だった)……。

 詳細は本書に譲りますが、「近大マグロ」に留まらない複数・多角的な視点と挑戦が見つかりました。

「なぜ大学が」と自己限定せず、次々に社会へ踏み出し、実学教育を推し進め、本質的な「ブランド力」をつけ、それを戦略的に広報し発信していく力が、「V2 達成」につながっていったのではないか。

 近大の取り組みから学ぶことはビジネスにおいてもたくさんあるのでは。と書いているまさにその時、3月20日の卒業式についてリリースが届きました。

「“女子学生に優しい”卒業式を挙行します。今回初の試みとして、女子学生の袴の着付けを行う時間を考慮して、開始を例年より1時間繰り下げ、学内に着付けスペース、メイクを行うパウダールーム等を設置するなど、“女子学生に優しい”卒業式になるよう準備しています」

 まさしく「大学」の枠を超え、一般ビジネスがヒントにすべき「サービス」「おもてなし」のヒントが詰まっている近大、と言えそうです。

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