9月24日、政府軍の総攻撃により西郷らが自刃して戦争が終結すると、その日の午後には日日新聞の号外が東京市中に出回った。

〈兼(かね)て待ち設けたる薩賊殲滅の吉報は果して今月今日を以て我らの手に落るを得たり〉

──そう始まる号外は、ソースとなった〈只今賊の根拠を陥いれ、西郷桐野村田戦死せり〉の政府軍電信を引用して終わっている。
 
 一方、犬養の「戦地直報」(10月5日付)はこう書いた。

〈……戦全く止む。諸軍喧呼して曰ふ。我れ西郷を獲たり、我れ獲たりと。而して西郷の首、果して誰が手に落ちるを知らざるなり……英雄の末路ついに方向を錯り、屍を原野に晒すと雖(いえど)も、戊辰の偉功国民誰が之を記せざらんや〉

 戦争終結に際し、「西郷を討ったのは自分だ」と手柄を誇る政府軍兵士の声とともに、その死を悼む犬養の心情が綴られている。

 西南戦争報道を経て、新聞は大きく部数を伸ばした。内務省総務局調査によると、全国の新聞年間発行部数は戦争前年の2898万部から、3345万部に急増している。

※SAPIO2015年4月号

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