昨今、テレビや新聞、雑誌、書籍など、さまざまなメディアで話題になっている「ふるさと納税」。まだやったことがない人でも、「かなりお得らしい」という話は聞いたことがあるはず。そして、そんなふるさと納税がこの春、今まで以上にお得に便利に、制度が変更される予定だ。その最新事情を紹介しよう──。
自ら、年間200か所、300万円以上の寄付をし、“ふるさと納税の達人”として知られる金森重樹さんに聞いた。
「ふるさと納税は、地方間格差や過疎などによる税収の減少に悩む自治体に対し、格差是正を推進するための新構想として2008年に創設された制度です。“納税”といわれるとイメージしにくいですが、要は地方への『寄付金』のことで、その“お礼”として、地元の特産品などがもらえる制度です。ふるさと納税(寄付)をして確定申告をすると、2000円で高級和牛や米、高級果物、カニやエビといった豪華な特産品などの“お礼の品”がもらえるのです」(金森さん、以下「」内同)
多くの自治体では1万円の寄付で特産品が1つもらえ、確定申告をすると所得税と住民税から8000円が還付・控除される。実質2000円で特産品がもらえるのだ。
「『ふるさと』といっても自分の生まれ故郷や実家がある市町村でなくてもOK。欲しい特産品がもらえる自治体に寄付してもいいんです。また、一つの自治体だけでなく複数の自治体に寄付できて、寄付金の使い道を指定できるのも特徴です」
例えばA市に1万円寄付してA5ランクの特上和牛をもらい、B町に1万円寄付して高級メロンをもらい、C村に1万円寄付してカニをもらう、なんてこともできる。
しかし、「A市から実質2000円でお肉をもらって、B町から実質2000円でメロンをもらって、C村からも実質2000円でカニをもらうって、そこまでお得?」と思う人もいるかもしれないが、実はこれは勘違いしやすい点。そうではなく、合計3万円寄付したら確定申告をすれば2万8000円が還付・控除され、実質2000円で全部もらえるのだ。
それなら10万円でも20万円でも寄付して、2000円で特産品がもらえたら食費も浮いて、かなりお得と思ってしまうが、残念ながらそれは難しい。というのは、年収や家族構成などによって、2000円の負担だけで済ますためには、“上限金額”が決まっているからだ。
実はこの上限金額が約2倍に引き上げられる。例えば年収500万円の独身者なら、今までは3万4000円が上限の目安だったが、約2倍の6万6000円が目安になる。
ふるさと納税を行う私たちに関わってくる大きな変更点は、【1】 “上限金額”が約2倍になる、【2】確定申告を不要にして手続きを簡素化する、【3】申告不要者は住民税のみから控除する、という3点。制度変更について、総務省自治税務局は次のように説明する。
「現在(2月5日時点)、国会で法案を審議していてほぼ確実に通ると思われますが、これが確定すると、ふるさと納税は今までの約2倍の“上限金額”を寄付することができるようになります」