ネット上では日々様々なイシューを基に議論が展開される。過去に話題となり、両派が激しい意見の応酬を展開した結果、言うことが憚られるようになった案件も多い。そんな中、批判があるのは覚悟しつつも、持論を述べる方々にその真意を聞く「今、敢えて言っておきます」シリーズを3回にわたってお送りする。1回目の「生活保護」(片山さつき氏)に続く第2回は「原発」について、NPO法人社会保障経済研究所代表の石川和男氏に話を聞いた。
『原発の正しい「やめさせ方」』(PHP新書)の著書があり、「ダイヤモンドオンライン」等で原発について言及することの多い石川氏は、決して「推進派」ではない。原発の危険性は認識しつつも、現状の日本を考えると再稼働もやむを得ないのでは……、と考えている。その真意はどこにあるのか。
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まず、考えたいのは、福島第一原発の事故は、大津波が原因だということです。停止中の冷却電源が流されたが故のメルトダウンに繋がりました。発電中の事故ではなく、停止中の事故なんです。日本の電力会社はかなりケアが行き届いているので、「発電」そのものが危ないという発想は間違いでしょう。スリーマイル島とチェルノブイリの事故は人為ミスでした。
福島の場合の問題は大津波です。だから、私はまずは津波対策をやれよ、と考えています。原発に関してはテロ、活断層の問題など様々あり、それをすべて解決しなくてはいけないということになっている。しかし、それは今回の事故の教訓ではありません。今は原発を早く再開し、経済を動かして、原発の安全のための投資をしなくてはいけないのです。規制当局の審査をしながら発電を再開させれば良いのです。これが一番重要です。
■火力発電には年間3兆7000億円の追加燃料費
日本は今、ODAなどで海外の様々な国にまさに「貢いでいる」状態です。一体コレ、何をやっているのでしょうか。さらに、今、火力発電に使う高額なLNGに多額のカネをつぎ込んでいます。これにより、年間約3兆7000億円の追加燃料費がかかっています。震災以後、原発ゼロにしたため、追加LNGや石油の輸入により、今のドル換算レートだとこれだけの追加の金額を使うこととなったのです。
だとしたら、1日100億円ですよ! これだけのカネがあったら何に使えるのでしょうか。このカネがあれば、何人の待機児童を救えるのでしょうか。特別養護老人ホームをどれだけ拡充できるのでしょうか。生活保護も含め、本当に必要な人にどれだけ支援をすることができるのか……、と嘆息するのです。おカネを必要とする人が日本国内でこれだけいるのに、むざむざ海外の資源国に差し出す結果となっているのです。数年前、生活保護の総支給額は3兆7000億円とされていましたが、それと同じ額があくまでも「追加燃料費」で使われていたのです。