中国メディアは連日、習近平国家主席の動静をトップで伝えるとともに、インターネットでは「習大大(習おじさん)」の愛称で習近平を礼賛する歌や漫画が大量に流されている。まるで、毛沢東主席を思わせる個人崇拝ぶりだ。
これと反比例するように、李克強首相の影の薄さが目立ってきている。北京では昨年来、李克強の健康不安説が囁かれていたが、先月の全国人民代表大会(全人代)を機に「ポスト李克強問題」が急浮上してきた。ジャーナリストの相馬勝氏が解説する。
* * *
李克強の健康不安説が表面化したのは今年2月上旬、北京でアルゼンチンなど南米諸国の首相らと会談した際、顔色が優れず、目の回りが黒ずんでくぼみ、頬がこけて、げっそりと痩せていたことからだ。「北京の外交団のなかには、本国宛ての公電で、李克強の健康不安説を報告した大使館も数か国に及んだと聞いている」と北京の外交筋は明かす。
各国の外交団にとって、3月の全人代は今後一年間の中国政府の政策とともに、李克強の健康不安説を見極めるという新たな課題が加わった。
このため、全人代初日冒頭に政府活動報告を行った李克強の表情に注目が集まった。筆者はインターネット経由で生中継でみたのだが、やはり顔色は心なしか、全体にどす黒く、目も落ちくぼんでいるようだった。李克強はちょっとグレーっぽい色つきの眼鏡をかけているので、なお一層、目の回りが黒ずんで見えるのかもしれない。敢えて、目のまわりの黒ずみをカモフラージュするために、色つきの眼鏡をかけている可能性も考えられよう。