最近、この立ち入り検査は貸出金の「量」から、融資案件の収益性などを見る「質」へと変わってきたとの指摘もあるが、前出の小泉氏は「マニュアル行政自体が変わらなければ地方の活性化も望めない」と警告する。
「金融庁が用いる金融検査マニュアルのベースはあくまで国際銀行の基準に則っているため、海外支店のひとつも持たない日本の地銀経営に即したものではありません。
また、メガバンクだろうが地銀だろうが一律に『過去しか見るな』と決算書に基づく融資を徹底させ、マニュアルで数字の順守ばかりを求めてきました。こんな縛りを続けていたら、将来有望な企業のビジネスモデルや商品を発掘できるわけもなく、魅力ある地域の活性化に繋がるはずがありません」(小泉氏)
2020年の東京五輪後には現在105ある全国の地銀が半分以下に集約される可能性も囁かれているが、国民にメリットもない再編が本当に必要なのか。
「今後も東京、大阪、名古屋といった大都市圏、その他、中四国は岡山と広島、東北は仙台、北海道は札幌などと集約されていき、どこの銀行が母体となって生き残るかの戦国時代が当面続くでしょう。
しかし、地方の埋もれた中小企業を必死に支援しない地銀はそもそも存在意義がありませんし、大同団結しても地方が活性化しないならメガバンクだけでいいという議論が起きてもおかしくありません」(小泉氏)