センバツ甲子園でベスト4入りを果たした大阪桐蔭高校(大阪府大阪市)の「5億円裏金」事件で、第三者委員会は少なくとも1億2000万円が不正に流用され、主導したとみられる前校長の森山信一氏(74)を刑事告訴すべきとの結論をまとめた。保護者への説明会は報道陣に非公開で入学式前日に行なわれ、質疑応答は開始直後から紛糾した。関係者の証言をもとに18時半から23時過ぎまで続いた270分に及ぶ説明会の様子を再現する。
口火を切ったのは在校生の父親だった。第三者委員会の報告から1週間以上経過しても刑事告訴に踏み切らない学校を強く批判した。
「教育機関として自浄作用がまったく働いていない。(前校長らを)刑事告訴し、(学校法人の)理事長などが入れ替わらない限り、廃校もやむを得ない状況と考えています」
会場には拍手が沸き起こる。保護者たちの怒りは学校の体質にも向けられた。この春に卒業した生徒の母親は同校教師の言動を問題視した。
「今回の事件は、起こるべくして起きたと思っております。子供が入学してすぐの頃、担任の先生が『映画館に行った時に、京都大学など一流大学の学生証を提示すれば、気分が良いでしょう? 財布から学生証を堂々と出せるように頑張りましょう』と。個人面談の際にも人権を無視する発言がありました。教室から(道を挟んで向かいに)見える大阪産業大学を指さし『あそこの大学に行くつもりなのか。授業料が高く親不孝だぞ』と。
レベルの高い大学を目指すのは、人に対し優越を感じるためでしょうか。もしそうなら優秀な生徒は愚劣な心を持った人となるのではないですか」
大阪桐蔭は学校法人・大阪産業大学が運営し、1983年に大阪産業大学高校(現・大阪産業大学附属高校)の分校としてスタートしたが、近年は系列の大学ではなく国公立、有名私大への進学実績をアピールしている。