異常な喉の渇きと疲れやすさを感じて病院で検査を受けると、糖尿病の指標となる空腹時血糖値が270(126以上が異常値)を超えていた。
「即入院だといわれたんですけど、スケジュールがいっぱいで無理だとお願いしたら食事療法と薬の処方が始まりました。一日の摂取カロリーを1600キロカロリーに抑えてくださいといわれました」
まさに学会ガイドラインに沿った食事療法だった。假屋崎氏はそれまでの生活を反省しカロリー制限に真面目に取り組んだが、症状は改善しなかった。
「カロリーさえ気にすればいいんだと思って、栄養価のないものばかり食べる生活になってしまったんです。今になって考えるとカロリー制限神話の弊害よね。糖質制限をやっていたら肉や魚で栄養は摂れたはずだけど、とにかくカロリーを減らさなきゃ、と肉や魚も口にしないようになった。そうしたら血糖値以外の数値に異常が出てしまった。それでカロリー制限を自分で勝手に緩和したら体調が安定するようになったの」
その後、病院から足が遠のいて不規則な生活に戻り、昨年末の人間ドックでは再び空腹時血糖値が279という数値になってしまった。現在は薬で凌ぐ日々だ。
「カロリー制限でだいぶ苦労したけど、糖質制限が世界の主流なら、そうしたほうがいい。なんだか悔しいよね。カロリー制限のために費やした努力が無駄だったってことでしょ。あの年月を返してほしいわよ」
※週刊ポスト2015年5月1日号