「明るいイメージの強い中畑監督ですが、一方でかなり厳しい措置を講じる。今年、活躍している飛雄馬も禁煙指令を守れず、練習中に強制送還された過去がある。逆にいえば、厳しい態度は期待の裏返し。監督から発破をかけられた選手は、ほとんど成長していますからね。
また、中畑監督は野球選手としてだけでなく、人間教育もしっかり行なっている。今年も井納に対し、『降板した後も、声も出さず、仲間の応援もしない。そういうところも、教育しないといけない』と話している。ベンチ内の選手の表情もよく観察しているんですよ」(同前)
中畑監督が若手育成に力を入れる背景には、現役時代の経験が生きているという。
「中畑監督が巨人に入団した頃は、V9戦士が衰えを見せ始めた時代だった。チームの若手育成方針と合致したため、エラーしても三塁で我慢して使われ続け、4年目でレギュラーに定着した。もちろん大卒ですから、決して早いほうとはいえません。その時代の巨人は、長嶋茂雄監督がどれだけ打たれても新浦壽夫を起用してエースに育て上げたり、松本匡史や篠塚利夫(現・和典)といった線の細い選手でも、一芸に秀でていると思えば積極的に起用したりしていた。
だから、中畑監督も、能力があると思った選手は経験を積ませれば必ず花開くことを体験的に知っているし、結果の出ない若手の気持ちも理解できる。1980年代の巨人は、1970年代後半に長嶋監督の育てた選手たちが開花し、一度もBクラスに落ちることのない常勝軍団となりました。中畑監督が来季以降も続投となれば、横浜DeNAの黄金時代が到来してもおかしくありません」(同前)