中国はいま、軍事面やAIIB(アジアインフラ投資銀行)をはじめとした金融面などあらゆる分野で、世界の秩序を変えようとしている。巨大な経済力を背景に勢力拡大を狙う隣国に世界各国が翻弄される中、日本はどう対処すべきか。ジャーナリストの櫻井よしこ氏が緊急寄稿した。
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世界は今まさに、大きな地殻変動の只中にあります。アメリカが中心となった秩序が揺らぎ、中国がとめどない軍拡を背景に、国際法を無視した領土・領海の拡大を続け、好き放題しています。
その中国が金融面で覇権拡大を打ち出してきたのがAIIBです。
アメリカが牽制したにもかかわらず、イギリスを皮切りにドイツ、フランス、イタリアといったEU諸国が雪崩を打って参加を決め、57か国でスタートすることになりました。中国メディアは勝ち誇ったように「日米の孤立」「外交的勝利」を盛んに報じています。
AIIBだけではありません。それに先だって習近平主席は400億ドル(約4.5兆円)の「シルクロード基金」の創設を発表し、周辺地域の鉄道や通信網といったインフラ整備を援助する方針を打ち出しました。この基金を使って「シルクロード経済圏」を作り、ユーラシア大陸全体を影響下に置こうとするものです。
さらに昨年7月には、BRICS(ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ)の5か国による国際金融機関「新開発銀行」を創設しています。上海を本部とし、やはり中国が中心となった組織です。金融面で世界地図を塗り替える試みが繰り広げられているのです。
軍事面ではすでに脅威が現実化しています。ベトナムが領有を主張している南シナ海のパラセル諸島(西沙諸島)は完全に中国海軍の巨大基地となり、中沙諸島、南沙諸島においても軍事施設の建設が進んでいます。