女子アナといえば、“才色兼備”の象徴的な存在だろう。漢字の読み間違えを指摘されるケースもあるが、視聴者は「女子アナは頭が良く、読み間違えないはず」という大前提の考えがあるからこそ、ネタになるのである。
昔から早稲田大学や慶應義塾大学出身者が多数を占め、高学歴ではないと就けない職業だといえる。最近も、傾向は変わらない。2010年から2014年までの5年間で、民放5局には計38人の女子アナが入社。出身校を見ると、水卜麻美アナ(日本テレビ)などを輩出した慶應大学が最多の9人。早稲田大学は4人。以前と比べれば、割合は減ったとはいえ、早慶が3分の1を占めている。テレビ局関係者が話す。
「昔から、高学歴の人が採用されてきたのは、きちんとした理由があります。女子アナは、報道、スポーツ、情報、バラエティとどんな分野でも対応できるスキルが求められます。情報番組の後すぐに、バラエティの収録をすることだってある。
このとき、“受験で養った学力”はかなり重要なものです。かつて受験競争は『記憶力重視で創造性を奪う』などと批判されたこともありますが、受験には社会に出て“仕事のできる人間”になるために必要な要素がいくつも詰まっています。第一に、偏差値の高い大学に合格するには、単なる記憶力では歯が立たない。物事の要点を理解する力が求められます。
そして、受験では、嫌いな科目から逃げないで克服する力も養われます。つまり、興味のないことにきちんと立ち向かう姿勢は、さまざまな分野に挑戦しなければならない女子アナという職業にもっとも重要な資質と言えます。たとえば、全く興味のない野球を、一から勉強して生放送で対応できるようになるには、“受験”時に培った力が大きくものを言うはずです」
高学歴に変わりはないが、最近の採用では国立大学出身者が増えているのも大きな特徴だ。1990年代の入社を見渡すと、現在は国会議員となっている丸川珠代・元アナ(テレビ朝日)、佐々木恭子アナ(フジテレビ)といった2名の東京大学出身者と、筑波大学の山王丸和恵・元アナ、大阪大学の森富美アナ(ともに日本テレビ)など、10年間で6人のみ。しかし、2005年からの10年間では、その倍となる12人採用されている。