韓国が日米関係強化に不満のようだ。本記事が出るころは安倍晋三首相の訪米と米議会演説(4月29日)は終わっているだろうが、韓国は米国が日韓関係で日本寄りになり、日本の肩を持っているとしきりに文句を言っている。
マスコミは「米議会での安倍演説を阻止できなかったのは韓国外交の敗北」などと書きたてている。日米緊密化がまるで韓国の損であるかのように。
不満の理由は「日韓関係の膠着や悪化の原因は韓国にある」と米国が考えていることが分かったからだ。米国は中国の軍事的膨張という「現実」を前に、韓国が依然として「現実」より「過去」にこだわって日本を非難し、日本との関係を改善しようとしないことに業を煮やしている。
韓国が最もショックを受けたのはシャーマン米国務次官の「政治指導者が過去の敵を非難することで安上がりな拍手を受けることは難しいことではない。そんな挑発は発展ではなくマヒをもたらす」との発言(2月27日、ワシントンでの講演)だ。これは明らかに朴槿恵大統領の対日外交を皮肉り批判したものだった。
韓国マスコミはその後、そうした米国の雰囲気をワシントン発で「ワシントンで“対韓疲労感(Korean fatigue)”が広がる」と伝えている。慰安婦問題をはじめ「過去」にこだわった韓国の日本批判に米国はうんざりしているということが、やっと分かってきたのだ。
そんな中で起きたのがリッパート米大使テロ事件(3月5日)。大使は親北朝鮮系の反日・反米活動家に顔と手を深く切られ重傷を負ったが、これを機に韓国では官民挙げて親米ムードが広がった。
「米国を大事にしよう」「韓米関係の強化を」というわけだ。「米国に冷たくされている」と感じつつあったため、ここぞと親米を強調し米国を韓国に引き戻そうと懸命だった。
その後、朴槿恵大統領は中国が主導するAIIB(アジアインフラ投資銀行)への参加を発表し、ロシアでの戦勝70周年記念行事への出席は断った。前者では中国にいい顔をする一方、後者ではウクライナ問題を理由にした米国からの出席拒否要請を受け入れ米国の顔を立てたのだ。