ビジネス

元メガバンク支店長が指南 「親子の資産は連結させるべし」

「お金を考えることは家族を考えることです」と菅井敏之氏

 相続税の課税対象が広がったことや、将来の介護不安などから、親がどれくらいお金(財産)を持っているか知りたいと思っている現役世代は意外に多いのではなかろうか。しかし、「オヤジさぁ、いくら貯金あるの?」なんて突然切り出しても、「何でお前に教えなきゃいけないんだ!」と機嫌を損ねさせてしまうのが関の山だろう。

 そこで、元メガバンク支店長で『家族のお金が増えるのは、どっち!?』(アスコム)の著者である菅井敏之氏に、親子間でアンタッチャブルになっている“懐具合”を上手く探り出すコミュニケーション術を伝授してもらった。

 * * *
――親の経済状態を知ろうとすることは不謹慎なのでしょうか?

菅井:そんなことは全くありません。親にお金がなければ、歳を取って介護が必要になった場合にどう金銭面で支えていくかを考えなければいけませんし、資産があったらあったで、兄弟間の相続争いに発展しないとも限りません。親の資産の「引き継ぎ」は早めに確認しておく必要があります。

 親の財産を知らなければ、たとえば子供が相続するはずだったお金が、銀行のすすめる投資信託に回され、気が付いたら資産が半分に減っていたなんて事態にもなりかねません。親の財産を「守る」ことも子の大切な役割なのです。

――とはいえ、親の経済状況を聞くことは容易ではありません。

菅井:1年に1度しか実家に帰らなかったり、電話もろくにしないような子供に、自らお金の話をしようと思う親はいませんよ。週に1回の電話でもいいから、親とのコミュニケーションを密に取ることが大事です。「今週は何したの?」「病院の検査結果はどうだった?」など、親に関心を持って心を開いてもらわなければ何も始まりません。

――いざ、本題を切り出そうと思ったら、どうすればいいのですか?

菅井:心を通わせただけで、親の財産を知る権利ができたと考えるのは大間違いです。まずは子自らの「資産内容」や「将来考えていること」を親にオープンにするべきです。

 方法としては、現金、預金、株式、不動産などの項目を挙げ、住宅ローンなどの〈負債〉も紙に書き出します。そこに子供の受験や親との家族旅行など将来予定しているイベントも加えたライフプラン表を作成します。子供が「エンディングノート」やライフプラン表を買いて親に渡し、さりげなく親の分もプレゼントすればいいのです。

――確かに子供から先に資産公開すれば、親もマネープランが立てやすいですよね。

菅井:子供にこのようなノートを見せられて感心しない親はいないはずです。こうすることで、「孫が私立に行くなら、このくらい援助しようか」とか「家を壊してアパートを建ててから相続しよう」など、親の支援を受けられる見込みが立つかもしれません。

〈お金のことを考える〉ことは、〈家族のことを考える〉ことなのです。そこを透明化しておかなければ大塚家具のように骨肉の争いになってしまいます。親子でもホウレンソウ(報告・連絡・相談)は欠かせません。

関連キーワード

関連記事

トピックス

紅白初出場のNumber_i
Number_iが紅白出場「去年は見る側だったので」記者会見で見せた笑顔 “経験者”として現場を盛り上げる
女性セブン
ストリップ界において老舗
【天満ストリップ摘発】「踊り子のことを大事にしてくれた」劇場で踊っていたストリッパーが語る評判 常連客は「大阪万博前のイジメじゃないか」
NEWSポストセブン
大村崑氏
九州場所を連日観戦の93歳・大村崑さん「溜席のSNS注目度」「女性客の多さ」に驚きを告白 盛り上がる館内の“若貴ブーム”の頃との違いを分析
NEWSポストセブン
弔問を終え、三笠宮邸をあとにされる美智子さま(2024年11月)
《上皇さまと約束の地へ》美智子さま、寝たきり危機から奇跡の再起 胸中にあるのは38年前に成し遂げられなかった「韓国訪問」へのお気持ちか
女性セブン
佐々木朗希のメジャー挑戦を球界OBはどう見るか(時事通信フォト)
《これでいいのか?》佐々木朗希のメジャー挑戦「モヤモヤが残る」「いないほうがチームにプラス」「腰掛けの見本」…球界OBたちの手厳しい本音
週刊ポスト
野外で下着や胸を露出させる動画を投稿している女性(Xより)
《おっpいを出しちゃう女子大生現る》女性インフルエンサーの相次ぐ下着などの露出投稿、意外と難しい“公然わいせつ”の落とし穴
NEWSポストセブン
田村瑠奈被告。父・修被告が洗面所で目の当たりにしたものとは
《東リベを何度も見て大泣き》田村瑠奈被告が「一番好きだったアニメキャラ」を父・田村修被告がいきなり説明、その意図は【ススキノ事件公判】
NEWSポストセブン
結婚を発表した高畑充希 と岡田将生
岡田将生&高畑充希の“猛烈スピード婚”の裏側 松坂桃李&戸田恵梨香を見て結婚願望が強くなった岡田「相手は仕事を理解してくれる同業者がいい」
女性セブン
電撃退団が大きな話題を呼んだ畠山氏。再びSNSで大きな話題に(時事通信社)
《大量の本人グッズをメルカリ出品疑惑》ヤクルト電撃退団の畠山和洋氏に「真相」を直撃「出てますよね、僕じゃないです」なかには中村悠平や内川聖一のサイン入りバットも…
NEWSポストセブン
注目集まる愛子さま着用のブローチ(時事通信フォト)
《愛子さま着用のブローチが完売》ミキモトのジュエリーに宿る「上皇后さまから受け継いだ伝統」
週刊ポスト
連日大盛況の九州場所。土俵周りで花を添える観客にも注目が(写真・JMPA)
九州場所「溜席の着物美人」とともに15日間皆勤の「ワンピース女性」 本人が明かす力士の浴衣地で洋服をつくる理由「同じものは一場所で二度着ることはない」
NEWSポストセブン
イギリス人女性はめげずにキャンペーンを続けている(SNSより)
《100人以上の大学生と寝た》「タダで行為できます」過激投稿のイギリス人女性(25)、今度はフィジーに入国するも強制送還へ 同国・副首相が声明を出す事態に発展
NEWSポストセブン