首都圏の新築マンション価格が上昇を続けている。不動産経済研究所によれば、2014年の平均価格は前年比2.7%増の5060万円。5000万円を超えたのはバブル末期の1992年以来だという。
資産価値としての需要も再び高まっているマンションだが、本当に今が「買い時」なのか。近著に『やってはいけないマンション選び』(青春出版社)がある住宅ジャーナリストの榊淳司氏に聞いた。
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――新築マンションの価格がバブル並みに上がっています。
榊:昨年の消費税増税後に一旦“ミニミニバブル”が終わってマンション販売も萎んでいたのですが、秋に日本銀行の黒田東彦総裁が異次元金融緩和を発表して以来、局地的なバブルが起きています。都心部では昨年の11月からさらに1割は値上がりしています。
例えば、オリンピックの選手村が建設される予定の晴海エリアには『ザ・パークハウス晴海タワーズ』や『勝どきザ・タワー』といったタワーマンションが林立し、平均坪単価(3.3平方メートル)が290万円台から300万円台前半といった高額物件となっています。
そんな中、新たに誕生する『パークタワー晴海』は、地下鉄の最寄り駅から徒歩12~15分と遠いにもかかわらず、坪単価は300万円台の中盤に達するのでは、とまで言われています。
――また、山手線の内側エリアの高騰は凄まじい。坪あたり500万円を超えるような高額タワーマンションも分譲され、次々と売れているとか。
榊:業界でもっとも話題になっているのは目黒駅前の『ブリリアタワーズ目黒』で、現在モデルルームで提示されている価格から平均坪単価を推測すると600万円になると言われています。通常、坪単価が300万円を超えるマンションは、年収が1000万円以上はないと、とても手が出るマンションではないので、異様なほど高騰しているといえます。
――では、どんな人が購入を決めているのでしょうか?
榊:坪500万円以上の物件を購入するような層は、自分で住むために買うケースは3分の1程度。残りの3分の1はシニア世代をはじめ、相続税対策を考えている富裕層。そして、残りは投資目的の外国人といった比率でしょう。
――賃貸に回して家賃収入を得る年間利回り(収益率)も4%未満といいます。
榊:完全にバブルの水準です。東京の都心エリアは3%に満たない新築物件が多いですし、賃料の想定によって2%台の物件もあります。いくら資産価値が落ちない山手線圏内であっても、常に借り手がつく保証はありませんし、50年かかってやっと元が取れたと思ったら、そのマンションなんてもうボロボロですよね(笑い)。