ハヤカワSFコンテスト大賞受賞作『ニルヤの島』(早川書房刊)でデビューした柴田勝家氏は、名前の通り戦国武将と歴史をこよなく愛する27歳の新人作家だ。保存修理工事が終わった姫路城が観光地として脚光を浴びているが、柴田氏からおすすめの城郭めぐりと戦国メイド喫茶の楽しみ方、武将にまつわる願いについてきいた。
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――今年は大天守の保存修理工事が終わった白鷺城こと姫路城が話題ですね。
柴田勝家(以下、柴田):本当にきれいになって、感無量です。ワシはマイナー大名が好きなので、姫路城の元の元の元の城主の小寺氏のことがずっと気にかかっています。小寺はきっと、こんな立派な城になって、池田(輝政)ありがとう! と感謝していると思いますよ。
――これまで訪れたお城の中で、特に印象深かったところを教えてください。
柴田:何十という城を訪れているわけではありませんし、戦国時代の築城ではないですが、愛媛の松山城は立派でしたね。歴史好きの仲間と一緒に行くと、城を見るときの目線が普通の観光とは違ってきます。松山城の隣にはきれいな桜並木の通りがあるので、春先に訪れる人はたいてい花見を兼ねて桜を愛でます。しかし、我々はその桜のほうは一切みず塀を見るのです。ここから火縄銃を出したら打てるね、とか。防備完璧だよと話が弾みます。
――戦を想定しながら城を散策するんですね。
柴田:小田原城へ行った時もそうでした。広いからここに敵を呼び寄せ、上からいっきに攻めればまだニの丸で止められる、なんてことを話し合いながら歩きます。史実や武将エピソードを知ったうえで城を訪れると、普通の史跡ではなく実体験としてシミュレーションできるので楽しめますよ。この穴から溶かした鉛瓦を落とせば登って来る兵を落とせる、といったように。
――城郭だけでなく、バラエティ番組でも告白されたようにメイド喫茶にもよく行かれるんですね。
柴田:昨日も行ってきました。行きつけの戦国メイド喫茶です。