同年代のライバル・松山英樹がランキングで世界トップ10に入る健闘を見せている一方で、米ツアー3年目を迎えた石川遼は苦戦の日々が続いている。ザ・プレーヤーズ選手権(5月7~10日)の出場を決めたものの、ランキングはシード権圏外の143位(5月5日現在)。
思うように活躍できない息子を、かつて帯同コーチとして“過保護”と批判されながらも寄り添ってきた父・勝美氏はどう見ているのか。これまでほとんど語ることのなかった複雑な胸中を吐露した。
「松山君と比べて苦戦していることは否定のしようがありません。ただ、松山君は凄いなと思っても、遼が自分を見失っていることはない。米ツアー挑戦3年目という中で、思ったようなゴルフができていないのは事実ですが、あくまでも自分との戦い。自分が考えている理想の位置から相当に遅れているという感覚じゃないですかね」
父であり、コーチとして石川遼をトッププロに育て上げた勝美氏は、今の石川の心境をそう代弁する。
米ツアー1年目は苦戦したが、2年目の2013~2014年度は3度のトップ10入りでシード権を確保し、今季の飛躍が期待されていた。しかし蓋を開ければ予選落ちが相次ぐなど、依然として苦境にさらされている。勝てない理由は何か。勝美氏はこう語る。
「両親が離婚の危機にあるとか、恋人とケンカして別れるとか、兄弟が非行に走るとか、ゴルフの障害となるような心配事は今の遼にはありません。“なんでこうなるんだろう”とか“こんなはずじゃなかった”といった愚痴もない。いい成績が残せないのは精神面が影響しているのではなく、単に技術が足りないのだと思います」
技術不足は、心の迷いとなって表われている。石川は予選落ちが続いた今年2月、グリップエンド部分に重りが入ったカウンターバランスグリップをツアー会場のドライビングレンジでいきなり使い始めた。だが、思った成績が残せず、4月に通常のグリップに戻した。