2015年10月に施行、2016年1月から運用が始まる「マイナンバー制度」。12桁の数字が一人ずつに割り当てられることは多くの人が知るところとなっているが、施行に向けて準備を「何も進めていない」企業が43.6%、社員20人未満の企業にしぼると75.4%にものぼっていることがわかった(NTT東日本調べ)。しかし、マイナンバー法に違反すると4年以下の懲役または200万円の罰金もある。違法にならないためには、どうしたらよいのか。
マイナンバー制度についてのセミナーも開催している、首都圏を中心に活動する社会保険労務士の山上幸一さんは「会社にマイナンバーをいっさい保存しない、残さない管理方法をすすめています」という。
「自社内でしっかりしたセキュリティを構築できる大企業をのぞいて、多少のお金をかけても、管理のしっかりしたマイナンバー制度に対応したクラウドを含めたサービスの利用がおすすめです。そうでなければ、マイナンバーについてデータにせず紙で持ち、金庫に入れて厳重管理する方法をとる。その場合、源泉徴収票などの作成はすべて手書きで対応することになります」
日本に住民票がある人であれば国籍や年齢を問わず指定されるマイナンバーは、社会保障、税、災害対策などの分野で行政等に提出する書類への記載が必要になる。支払い調書や給与所得の源泉徴収票にもマインバーが必要なため、アルバイトを一人でも雇っていれば個人商店でも対応せねばならない。
2016年1月からの運用開始に備えて各企業や事業所では関係するマイナンバーを収集することになるが、漏洩や不正利用には、厳しい罰則が定められている。管理には細心の注意が必要だ。
マイナンバーを管理しやすいと山上さんがすすめるクラウドサービスも、種類が豊富になってきた。「FLET’Sあずけ~るPRO」(NTT東日本)、「N-town」(NEC)、税理士向けの「A-SaaS クラウドマイナンバー」(アカウンティング・サース・ジャパン)など、それぞれの業務内容や規模に合った内容や価格帯を選べるようになった。