クレディセゾンのテレビCMで披露した「頭突き瓦割り」で一躍注目を浴びた新進女優・武田梨奈(23)と、『役者は一日にしてならず』(小学館刊)の著者である映画史・時代劇研究家の春日太一氏のロング対談。全3回のうち第2回をお届けする。
春日:『役者は一日にしてならず』にご登場いただいたベテラン俳優たちは若い頃に演技の基礎をやってからデビューした人たちが多かったんですけど、武田さんはどうでした?
武田:私はワークショップに行ったりという経験はあんまりなくて。中学生のときに1年間だけ所属事務所のレッスンには行っていたんですけど。オーディションが多かったですね、お芝居の勉強というのは。
私、今の事務所に入るまでに三百回ぐらいオーディションを受けていて、全部落ちているんです。でも、そこに行って、台本を渡されて知らない方とお芝居するという即興がお芝居の勉強になったのは感じますね。
レッスンでは発声練習とか、毎回同じ台本を読んだりするんですけど、そっちよりも私は、毎回違うことをやらされて、即興でやらされることのほうが鍛えられたし、勉強になった感じがします。
一回しかやらせてもらえないので、オーディションって。そこでどこまで自分を出せるかというのは、すごい勝負だなというか、本番と似ているなと感じました。
春日:「(アクションを)受ける」ほう(やられ役)もやってみたいとおっしゃっていましたが、今、そっちの勉強や練習をしていたりするんですか?
武田:はい。飛び下りの練習とか。あと、背落ちとか、まだほんとに基本的なことなんですけど、アクションチームに行ってやっていますね。
春日:例えば映画とかドラマを見るときでも、受ける側の人たちに注目したりとか?
武田:私はそっちを結構見ていますね。
春日:受け方について参考にしている演技とか、役者っていますか?
武田:ジャッキー・チェンの映画には、いつも大体同じような相手役が出てくるんですけど、やっぱり信頼関係ができているからこそ、あそこまで派手なアクションシーンができるんじゃないかなというのはすごく感じます。
あと、個人的にアクションをやっていく上で一番大切にしたいなと思うのは、アナログさ。時代劇は特にそうだと思うんですけど、今は映像の加工だったり、ワイヤーだったり、いろんなことで、もう誰でもアクションシーンをできちゃう時代になっているじゃないですか。
でも、昔の時代劇を見ると、完全に引きのシーンで爪先から何まで見えている状態でのアクションだったりが多い。ああいうのは今の時代、逆になくなってきているので、そういう、ごまかしのないアナログなアクションはこれからもやっていきたいですね。