芸能

勝野洋 自分のイメージで演じたいため誰かを参考にはしない

 大学在学中にモデルとして活動を始め、ひょんなことから『太陽にほえろ!』のテキサス刑事役に抜擢され人気者になった勝野洋は、天職なのか迷いながら俳優を続けていた。俳優としての自分を認められるようになったきっかけ、セリフに感じる言葉の力について勝野が語った言葉を、映画史・時代劇研究家の春日太一氏の連載『役者は言葉でできている』からお届けする。

 * * *
 勝野洋はもともと、好き好んで俳優の道に進んだわけではない。その意識が大きく変わるキッカケとなったのが、1993年に大林宣彦監督が撮った映画『はるか、ノスタルジィ』だった。

「これが自分の天職なのかどうか、ずっと迷いがあったような気がしています。大学に落ちたら自衛官になろうと思っていて、そっちが天職かな、と。

 でも四十歳になって『はるか、ノスタルジィ』に出た時『よし、これでやっていこう』と決めました。あの映画で演じたのは、いつも自分を否定している作家の役でした。否定された過去の自分が今の自分に会いにくるという話なんです。『いつまで俺を否定するんだ』と。
 
 演じながら、『俺もこの作家と同じだ』と思ったんです。そうやって自分を否定してきたんじゃないか、と。『それじゃあ前に進まないよな』と思いました。

 自分を認めないと、自分を受け入れないと、絶対に前には進めませんから。それから少しずつ、自分を認めていけるようになりました。今はネガティブなことは絶対に言わないようにしています。前向きなことしか言わない。

 自然体で少しずつ楽しみながらやれたらいい。役者って言葉に力があると思います。セリフ一つで人を感動させたり、怖がらせたりできる。舞台だと空間すら作れる。これは凄いことです。ですから、いい空間が作れたらいいなと思っています」

 2003年にモーニング娘。と共演した舞台『江戸っ娘。忠臣蔵』など、十代のアイドルたちと共演する機会も多い。

「彼女たちをフォローするといいますか、一緒にいいものを作っていくという意識でいます。

 演技のリズムは向こうに合わせます。一緒にやって僕だけ抜けていたらおかしいですから。演技というのは、結局はセリフ回しやトーンといったリズムだと思うんです。

 それでも、彼女たちの中に入って一緒にやる、という感じではないですね。包み込むという意識です。『優しいおじさん』として接するようにしています」

関連記事

トピックス

10月には10年ぶりとなるオリジナルアルバム『Precious Days』をリリースした竹内まりや
《結婚42周年》竹内まりや、夫・山下達郎とのあまりにも深い絆 「結婚は今世で12回目」夫婦の結びつきは“魂レベル”
女性セブン
騒動の発端となっているイギリス人女性(SNSより)
「父親と息子の両方と…」「タダで行為できます」で世界を騒がすイギリス人女性(25)の生い立ち 過激配信をサポートする元夫の存在
NEWSポストセブン
宇宙飛行士で京都大学大学院総合生存学館(思修館)特定教授の土井隆雄氏
《アポロ11号月面着陸から55年》宇宙飛行士・土井隆雄さんが語る、人類が再び月を目指す意義 「地球の外に活動領域を広げていくことは、人類の進歩にとって必然」
週刊ポスト
九州場所
九州場所「溜席の着物美人」の次は「浴衣地ワンピース女性」が続々 「四股名の入った服は応援タオル代わりになる」と桟敷で他にも2人が着用していた
NEWSポストセブン
初のフレンチコースの販売を開始した「ガスト」
《ガスト初のフレンチコースを販売》匿名の現役スタッフが明かした現場の混乱「やることは増えたが、時給は変わらず…」「土日の混雑が心配」
NEWSポストセブン
希代の名優として親しまれた西田敏行さん
《故郷・福島に埋葬してほしい》西田敏行さん、体に埋め込んでいた金属だらけだった遺骨 満身創痍でも堅忍して追求し続けた俳優業
女性セブン
佐々木朗希のメジャーでの活躍は待ち遠しいが……(時事通信フォト)
【ロッテファンの怒りに球団が回答】佐々木朗希のポスティング発表翌日の“自動課金”物議を醸す「ファンクラブ継続更新締め切り」騒動にどう答えるか
NEWSポストセブン
越前谷真将(まさよし)容疑者(49)
《“顔面ヘビタトゥー男”がコンビニ強盗》「割と優しい」「穏やかな人」近隣住民が明かした容疑者の素顔、朝の挨拶は「おあようございあす」
NEWSポストセブン
歌舞伎俳優の中村芝翫と嫁の三田寛子(右写真/産経新聞社)
《中村芝翫が約900日ぶりに自宅に戻る》三田寛子、“夫の愛人”とのバトルに勝利 芝翫は“未練たらたら”でも松竹の激怒が決定打に
女性セブン
天皇陛下にとって百合子さまは大叔母にあたる(2024年11月、東京・港区。撮影/JMPA)
三笠宮妃百合子さまのご逝去に心を痛められ…天皇皇后両陛下と愛子さまが三笠宮邸を弔問
女性セブン
胴回りにコルセットを巻いて病院に到着した豊川悦司(2024年11月中旬)
《鎮痛剤も効かないほど…》豊川悦司、腰痛悪化で極秘手術 現在は家族のもとでリハビリ生活「愛娘との時間を充実させたい」父親としての思いも
女性セブン
田村瑠奈被告。父・修被告が洗面所で目の当たりにしたものとは
《東リベを何度も見て大泣き》田村瑠奈被告が「一番好きだったアニメキャラ」を父・田村修被告がいきなり説明、その意図は【ススキノ事件公判】
NEWSポストセブン