算数の問題集を低音の美しい声で朗読し、「そんなことより気になるのは…」と、問題の不条理さをムード歌謡調のメロディーに乗せて訴える芸風が話題のタブレット純(40才)。かつて、「和田弘とマヒナスターズ」のボーカルとして活動していたこともある異色の経歴を持つ。そんな彼に、お笑いのネタ作りや、今でも続けているアルバイトなどについて聞いた。
――芸人にスカウトされたのが2011年。『歌ネタ王決定戦2013』(MBS)で知名度が上がりましたよね。芸人として名前が上がるのは早かったですよね。
タブレット:歌ネタ王によって、テレビやメディアに出る回数がかなり増えまして。今年の『行列のできる法律相談所』(日本テレビ系)出演も後押しされて、自分でも記憶がないくらい毎日仕事をいただいている状態になってきた。やっと芸人だと言っていいのかな、ぐらいの気持ちになれているんですけど。
――ネタはどうやって作っていますか?
タブレット:ひとりで飲んだりしている時に浮かんだりとか。マネジャーと飲むことが多いんですけど、誰も思わなかったふとした疑問を提案されて、それは面白いなとか。算数のネタも、自分は算数が苦手なこともあって、なんでこんなことを答えなきゃいけないんだってずっと思っていたので。それで教科書を見返したら、なんじゃこりゃと笑えたので(笑い)。
――教科書を投げ捨てるとか、演出もすぐに決まった?
タブレット:見せ方は悩んでしばらくやっていなかったんですけど、かなりネタに行き詰った時があって。事務所ライブだったんですけど、どうしようって感じで、やっちゃうしかないと思って。ぶっつけ本番、やってみたら、今までで一番くらいにウケて。ちょうどその時期に歌ネタ王があったので、すぐに決勝にいってしまって。
――それが2014年なんですね。
タブレット:そうです。それからはめくるめくというか。あんなに苦手だった算数に救われた。こんなふうに役立つとは夢にも思わなかったんですけど。
――あのネタはバージョンを増やしていく?
タブレット:「そんな事より気になるのは…」というフレーズがある程度浸透したので、算数ではないもので、本筋ではないところに目が行く、というネタを広げていこうと思っています。理想なのは、世の中がそこに向かって考えていることを、いやそれより気になるのは、と言えると嬉しいんですけど。風刺が効いているようなものとか。なんでこんなことしなきゃいけないのかってことを考え中です。
――ライブハウスの頃はバイトに明け暮れていたとおっしゃっていましたけど、さすがにもう辞めていますよね。
タブレット:いえ、バイトは続けています。マヒナスターズの頃からずっと介護の仕事をしていて、今も週2回在宅訪問介護をしているんです。病院にお連れしたり、買い物をしたり、料理をしたり。“テレビ出てたね”とか言われると、認識されたんだなって嬉しく思います。
――収入は増えたのに、辞める気はないんですか?