ひと口にTVドラマといっても、作品の出来不出来、密度は様々だ。作家で五感生活研究所代表の山下柚実氏が指摘する。
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AKB48の渡辺麻友初主演ドラマ『戦う!書店ガール』(フジテレビ系火曜午後10時)の視聴率が話題になっています。5話5.0%、6話3.6%。「テレビ史上最低視聴率更新の危機」などと騒がれ、最低数字3.5%を塗り替えるかもしれない、とか。“キャストありき”のドラマづくりが元凶という指摘も。これまでさんざん言われてきた話ですが。
人気アイドルが、必ずしも演技下手とは言えないはず。しかし、まず最初に人気者を主役と決めてしまって、それからドラマの構成や配役、演出を考えていくのだとすれば--。当然ながら、無理が生まれがち。ひたすら主人公を見せるためのドラマに陥りがち。それは素人が考えても想像できること。
それとは正反対のドラマも、今放送中です。
一言でいえば、まずは脚本、構成、演出案ありき。 このドラマは、いったい何を描くのか。最初にテーマとねらいとがしっかり絞られ、そこから各キャラクターの人物像・性格・役割が明快に確定される。そして、構成にぴたり適合する役者が配置される--。
『天皇の料理番』(TBS系日曜午後9時)は、そんなプロの仕事ぶりを感じさせるドラマ。
第4回(5月17日放送)は「配役の妙」を楽しむのに格好の内容でした。料理修行中の下っ端コックが3人登場。
主人公・秋山篤蔵(佐藤健)……おっちょこちょいで猪突猛進型。愛されもするが迷惑もかける。目標に向かってひた走る。松井新太郎(桐谷健太)……一見、ヘラヘラした画家志望の男。料理修行に身が入らずいい加減のようでいて、心根は優しい。山上辰吉(柄本佑)……不器用で内向的、生真面目。気持ちはあってもなかなか上手くいかず、一生懸命さが裏目に出てしまうタイプ。
と、対照的な3人。その配役はまるで星座のように見事。3人を際立たせる脇の仕掛けがまた凄かった。