「資金繰りにトラブルがあったことは説明していたのに、JCVは説明の場に弁護士を同席させ、寄付を強要するような姿勢で接してきたので当惑しました。私たちはJCVの下部団体ではありません。信頼関係で成り立っているはずです。
寄付を受ける側が『昨年は寄付したんだから、今年も寄付しろ』と求めてくるのはいかがなものかと思います。待ってほしいとお願いしていたのに、内容証明をわざわざHPで公開した」
キャップを集める側のあずかり知らないところで、両団体の間に深い溝ができていたのだ。矢部氏がいう。
「JCVの事務局長に、我々の寄付金の使い途を知るために事業報告書の提出を求めてきたが、開示されませんでした。情報公開請求をしたら、現地で活動するのではなく、ワクチン購入費を日本ユニセフ協会にまるまる寄付していた。
また、JCVはポリオワクチン投与を掲げていますが、世界でポリオは99%以上減少しました(1988年比)。事務局長にそうした成果を告知しないのかと聞くと、『寄付が集まらなくなるから公表しない』と答えたのもおかしいと感じた」
それに対してJCVは「ワクチン支援すべき国を選定し、数を決めた上で日本ユニセフ協会にワクチンを購入してもらっている。どこの国にどれだけ寄付したかも含めてすべてHPで公開している。
(ポリオ99%減少についての発言は)当時の事務局長が辞めているのでわからない。寄付が滞ったまま放置してはキャップを集めた人に説明ができないから、内容証明を公開した」と言い分は食い違う。
エコ推を批判しているのはJCVだけではない。キャップを集めた人がエコ推の配送サービスを使った場合、指定の6kgの1袋で送料430円を支払う。リサイクル業者はエコ推から20円/kgでキャップを買い取るので6kgのキャップは120円にしかならない。
「送料のほうが高いなら、市民はキャップを集めず、送料分をワクチン団体に寄付したほうが効率的だ」との指摘もある。これについて矢部氏は「説明が十分ではなかった」とする。
「私どもは環境NPOです。燃やされていたキャップを再利用し、CO2削減を図る活動が根本にあります。そこで得た利益をさらなる社会貢献活動として、障害者支援やワクチン寄付に充ててきました。そこがきちんと説明できていなかった」
※週刊ポスト2015年6月5日号