「霊感がある」という芸能人はけっこう多いが、俳優の松坂桃李もそのひとりだった。しかし、テレビでの彼の発言は華麗にスルーされてしまった。いったい何があったのか? 連載「ちゃんねる道中」でコラムニストのペリー荻野さんが綴る。
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松坂桃李といえば、今、もっとも活躍する若手俳優のひとりだが、先日、驚く発言をしていた。日本テレビ『PON!』のエンタメ情報コーナーで、役所広司とともに新作映画『日本のいちばん長い日』のPRで出演した松坂は「霊感があるらしい」という話を始めたのだ。
映画は1945年、戦争を終結すべきか、本土決戦に突入するか閣議が紛糾する中、役所演じる陸軍大佐らが苦悩の中で決断を下すという歴史大作。松坂は、終戦に反対し、クーデターを計画する青年将校を熱演している。その撮影本番の最中、「三人しかいないはずなのに、四人目の日本兵が見えた」と語ったのである!
聞き捨てならないこの発言。ここで貫録を見せたのが役所広司だった。「見る人が映画を観たら、たぶんもう一人観えると思います」「ぜひ、それを劇場で観てもらいたい」とフォロー。しっかり映画宣伝につなげた。
大物の主演俳優がここまで言うからには、視聴者は松坂には他にも霊感体験があったりするのか?など、当然この話が発展するだろうと注視していたはず。ところが、番組の座敷ボウラー金井は役所の言葉を受けて「ははは、そういう楽しみ方もあるということですね」と笑い、突然、「それではここで『座敷ボウリング~!!』」と映画とはまったく関係ないゲームに進めてしまったのだった。四人目探しが『楽しみ方』と言われても…と思う間もなく、現場にはゴザが敷かれて玩具ボウリングのセットも完了。松坂はボールを構えてコロコロ。あらら。霊感トークはすっかりスルーされてるよ。