NHK大河ドラマ『花燃ゆ』は超低空飛行の視聴率が続く。その理由の一つといわれるのが、「あまりに史実と違う」脚本だ。
例えば、4月12日放送の第15話『塾を守れ!』は、吉田松陰(伊勢谷友介)が老中暗殺を計画した罪で安政6年(1859年)の元旦を長州藩の野山獄(現・山口県萩市)で迎えるところから始まる。
獄中でなお老中暗殺を諦めない松陰は、妹の文(ふみ・井上真央)の最初の夫で江戸にいる久坂玄瑞(東出昌大)に計画に賛同するよう手紙を書くが、久坂と高杉晋作(高良健吾)から計画に反対する血判状が返ってくる。松陰は激怒し、絶交を宣言する。
しかし、史実では血判状は桂小五郎(維新後に木戸孝允に改名)が江戸から萩に帰る際に、久坂、高杉から預かり、松陰に渡したとされている。ドラマでは桂小五郎の代わりに、文の再婚相手となる小田村伊之助(大沢たかお)にやらせているのだ。
そうした脚色がドラマを盛り上げるためとは考えにくい。維新三傑と称される桂の役割を、いくら物語後半の準主役とはいえ、目立った功績のない小田村にさせるのは不可解だ。ある芸能プロダクション関係者はその理由をこう説明してみせた。
「NHK側が、松陰役の伊勢谷と桂役の東山紀之が絡まないよう配慮しているのでしょう。理由は東山の妻で女優の木村佳乃だ」
木村は映画『スキヤキ・ウエスタン ジャンゴ』で伊勢谷と意気投合し、2007年5月に交際が発覚した。別の映画でも共演し、プライベートの関係も発展するかと思われたが、2008年3月に破局が報じられた。その後、木村と東山の交際が始まり、2010年10月に結婚した。
「木村佳乃の元恋人と今の夫を、松陰と桂という非常に近い関係の大物2人にキャスティングしてしまった。そのため2人が顔を合わせないように考えたようです。もっとも、2人とも実績と経験のある演者だから、顔を合わせたからといってトラブルになるはずもないが、NHKが過度に配慮したのではないか」(同前)