「血糖値が急激に上がると、糖や脂質が活性酸素に攻撃され、『カルボニル化合物』という物質が作られます。この物質は、体内でコゲやサビのようなものを増やし、さまざまな臓器の機能を低下させたり、老化を促進したりするのです。また、DNAを壊したり、細胞を変成させたりもするため、細胞でエネルギーが作られにくくなり、肉体的にも、精神的にも疲れやすくなります。
そのほか、血管内にコゲやサビが増えると、免疫細胞がそれを攻撃して、脂肪のかたまりを作ります。これが動脈硬化。血管がボロボロになり老化が加速します。さらに、コゲは肌のシミやシワ、たるみなどの原因にもなります」(辛先生)
こうしたトラブルを防ぐには、血糖値の乱高下を防ぐことが重要。その鍵を握っているのが、“GI値(グリセミック・インデックス)”だ。GI値とは、食品に含まれる糖質の吸収度合いを示す値で、この値が高い食品の代表は、白米、パン、麺類など、精製度の高い穀物を使ったものや、砂糖を多く使うお菓子。これらを摂ると血糖値が急上昇しやすい傾向がある。
一方、主な低GI食品は、豆類、野菜(いも類を除く)、きのこ類、ナッツなど。これらの食品では糖が穏やかに吸収されるため、血糖値の乱高下を招きにくい。2003年にWHO(世界保健機関)は、低GI食品について「過体重、肥満、2型糖尿病のリスクを低減させる可能性がある」と報告している。
「血糖値の乱高下や、食後高血糖を予防するためにも、低GI食品は有効です。その中でも、特に推奨したいのが大豆。大豆は豆類の中でもGI値が際立って低く、たんぱく質やビタミン、ミネラル、食物繊維が豊富な食品です。納豆や豆腐、みそなどの大豆食品を普段の食事に取り入れるのはもちろんですが、間食に大豆を使用した焼き菓子などを摂るのも、血糖値の乱高下を防ぐのに役立ちます」(辛先生)
間食が血糖値の改善に役立つと言われると意外な気もするが、この考えには科学的な裏付けがあるという。