安倍政権でマスコミに睨みを利かせる菅義偉・官房長官は、「毎朝NHKの『おはよう日本』のニュースヘッドラインをチェックしている」(官邸筋)といわれる。
政府スポークスマンとして世の動きやメディアがどんなニュースを重視するかを見るのは当然だろうが、実際は安保法制をめぐるNHKの忠犬ぶりに朝からテンションが上がって仕方ないのだろう。
国民の受信料で運営される「みなさまのNHK」の報道が、“アベさまのNHK”へと変質している。5月26日の衆院本会議の安保法制の代表質問をテレビ中継せずに批判されたのは序ノ口だった。
安保法制の国会審議が本格化した5月28日と29日、『おはよう日本』に不思議な報道があった。国会では連日論戦が行なわれているのに、最新の質疑の映像を使わず2日間とも同じ映像を使って安保法制の“ニュース”を流したのだ。
1日目(28日朝)は〈「後方支援」国会審議の焦点に〉のヘッドラインで、政府が周辺事態法を重要影響事態法に改正し、自衛隊による後方支援について地理的制約をなくそうとしていることを報じた。使われたのは前日(27日)の岡田克也・民主党代表の質問映像だ。
岡田「もっと近くまで行ってやりたいのだけど、できなかったという意味なのか。だから『非戦闘地域』という概念を取り外し、現に戦闘が行なわれていない地域であればできるように変えたということか」
安倍「現実の安全保障環境に即した合理的かつ柔軟な仕組みに整理し直した。活動に参加する自衛隊員のリスクを高めることは考えていない」
──という論戦を報じた。