就活で飲食店のアルバイトをアピールする学生が多い。なぜなのか、それは本当に有効なのか。千葉商科大学国際教養学部専任講師の常見陽平氏が教える。
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「学生時代に力を入れたことは、飲食店でのアルバイトです。いつも相手の顔を見て、笑顔を心がけ、あたたかいコミュニケーションを意識しました。結果として、お客さんにも笑顔で帰ってもらいました。アルバイトで磨いた、この笑顔とコミュニケーション能力を活かし、御社では営業として頑張りたいと思います!」
きましたね。よくある、就活での「飲食バイトで、“コミュ力”身につけました」アピールです。エントリーシートでも、面接でもよく使われるネタですね。
このアピールは突っ込みどころがいっぱいです。お客さんが笑顔で帰ったのは、生中とツマミが美味かったからですよ。あなたの笑顔は、ウザいと思っていたかもしれません。
それは冗談として、笑顔だけで営業では活躍できませんから。目標達成意欲、戦略性、提案力が必要ですから。
いや、飲食店アルバイトをしたらダメというわけではないのですが、このアピールの仕方は、誰もがやることであり、没個性的です。面接官に響くアピールにはなりません。「またか」と思ってしまいます。
それにしても、この「飲食バイトでコミュ力磨きました」アピールというテンプレ、何故、そうなるのでしょう?これには、ちゃんと理由があります。
まず、なぜ飲食バイトをアピールするのかについて考えてみましょう。4月から大学の専任教員になりました。今まで以上に学生との接点が増えました。学生がしているアルバイトは、ほとんどが広義の飲食店です。
データでも見てみましょう。リクルートジョブズの「タウンワーク」が、2014年春に社会人1年目〜3年目に対して行った「大学生での初バイトランキング」(大学を卒業した22歳~25歳の社会人600人に、2014年3月27日~4月7日に実施 調査協力:株式会社クロス・マーケティング)によると、男性ではベストテン内に、第3位にファミレス、第5位に居酒屋、第6位にファストフード、第8位に飲食店スタッフが、女性は第2位に飲食店スタッフ、第4位にファストフード、第5位に居酒屋、第6位にファミレス、第7位にカフェが入っています。
なお、男女とも第1位はコンビニでした。あくまで「大学生での初バイト」でありますし、第1位になっているわけではないのですが、ベストテンの中にこれだけ飲食系のアルバイトが入っています。
ブラック企業対策プロジェクトは4月28日に「ブラック企業対策プロジェクト 学生アルバイト全国調査結果(全体版)」を発表しました。これは、全国の27 の国公私立大学に在籍する大学生(国立大学3大学、公立大学1大学、私立大学23 大学)に対して、2014年7月に実施し、詳細版調査票有効回収 3227 票、短縮版調査票有効回収1475 票、計4702 票をもとに集計した、労作です。
これによると、大学生が「これまで経験したアルバイト(複数回答)」について居酒屋18.7% 、ファストフード店・チェーンのコーヒー店15.4%、その他のチェーンの飲食店29.3%、その他の個人経営の飲食店10.1%との回答がありました。学生がどの業種でアルバイトをしているのかは、この調査の主目的ではありませんが、それでも、かなりの割合が飲食店でアルバイトをしていることが伺えます。