センバツ高校野球でベスト4に進出した大阪桐蔭では、大会期間中に前校長が主導したとされる裏金問題が発覚して大きなスキャンダルに発展した。同校を運営する学校法人は今月に入って前校長を刑事告訴する方針を発表。しかし、法人内からは「トカゲの尻尾切りだ」との声があがる。ノンフィクションライター・柳川悠二氏がレポートする。(文中敬称略)
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6月5日、大阪桐蔭中学校高等学校(以下、大阪桐蔭)を運営する学校法人大阪産業大学(以下、法人)は記者会見を開き、大阪桐蔭の前校長・森山信一ら3人を業務上横領や背任容疑で刑事告訴する方針を発表した。
在校生の保護者から模擬試験受験料や副教材費を過剰に集め、前校長らが5億円もの裏金を帳簿外の口座にプールしていた不正会計問題──。主導していたとされる森山がプールした金の一部を「裏報酬」として受け取っていたほか、裏金が高級ブランド品の購入などに充てられていたことが、3月17日に提出された第三者委員会の報告書によって明らかになった。
しかし、大阪桐蔭および同校を運営する法人内では問題が沈静化するどころか、さらなる騒動の火種がある。
現役の法人理事である総務部幹部Aが、「法人事務局総務部秘書課の渉外費及び雑費、福利費」の乱脈使用について教職員組合から追及を受けているのだ。
2008~2012年度の法人の渉外費等の一覧を記した組合内部資料を入手した。入手した資料は5年分の渉外費の執行額や出納日、摘要、支払先などがエクセルシートに記されたものだ。
〈2万5500円 学園関係者との懇親経費として(A=資料では実名、他三名:うち外部二名) 2008/7/17〉
〈2万7600円 就職採用等に伴う懇親経費として(A他二名、内外部二名) 2010/2/9〉
といった具合に支出の詳細が書かれ、その横には支出先である東心斎橋(大阪市中央区)にあるスナックや大阪市内にある料亭の名前が記されている。