2つ目が「ギリシャ問題」である。ギリシャの債務問題を巡って5月のユーロ圏財務相会合、IMF(国際通貨基金)への返済期限というハードルを何らかの手段で切り抜けられたとしても、6月には再びIMFの返済期限が迫り、7月以降も大規模な国債償還を迎えるなどデフォルト(債務不履行)危機は毎月のようにやってくる。
いよいよギリシャのユーロ離脱懸念が現実のものとなりつつあり、これが「第2次欧州債務危機」となれば、安全資産として金が買われることも予想される。ただ、これは一過性のものであり、金の騰勢も長続きはしないと見た方がよさそうだ。
そして3つ目が「中国の成長鈍化」。インドに次ぐ世界第2位の金の買い手である中国では経済減速の傾向が強まったことで、金の購買意欲も変調をきたしている。各種統計などを見ると、これまでなら1200ドルで大量買いしていた価格水準が1100ドル台まで切り下げられていることが確認できる。
もちろん、中国人の金に対する選好度そのものが下がったわけでないので、1150ドル近辺まで下がってくるようだと分厚い買いが期待できるため、そこからさらに底割れする可能性は低いと見ている。
以上、3つの要因を併せて考えると、年後半の金価格は1150ドル~1200ドルをコアレンジに、ギリシャ問題次第では一時的に1250ドルくらいまでの上ブレもあり得るかもしれない。「下値は底堅いが、上値は極めて限定的」というのが私の予測である。
※マネーポスト2015年夏号