今年も大きな話題をさらったアイドルグループ・AKB48の選抜総選挙。通算7回目を迎えた今年は、総投票数が過去最多となる328万 7736票、総選挙の模様を中継したフジテレビ系の番組は平均視聴率18.8%(ビデオリーサーチ調べ 関東地区)を記録し、開票イベントが行われた福岡への経済効果は約19億円ともいわれている。実際、開票イベント当日の福岡市内のホテルはほぼ満室状態で、その影響は近隣の佐賀県や大分県のホテルにまで及んだという。
一部では、大島優子や篠田麻里子、板野友美らここ数年にわたる主要メンバーの相次ぐ卒業を受けて「AKB48グループのブームももう終わり」といった声も聞かれていたが、今年は総投票数が前年よりも約60万票も上積みされるなど、結果的にはまだまだ人気は健在で総選挙に関しても国民的な注目を集めているというのが実情だ。
4年連続で総選挙の公式ガイドブックで論客を務めるなど、AKB48の事情に詳しい芸能評論家の三杉武氏はこう語る。
「1位の指原莉乃さんが開票イベント後、自身に多くの票を投じてくれた中国をはじめとする海外のファンに感謝の言葉を述べていましたが、今やAKB48グループの存在は海外からも大きな注目を集めています。元々、タレントの成長過程を楽しむ日本独自のアイドル文化は海外でも高く評価されていましたが、AKB48グループの活躍でその傾向がますます強まった印象です。
実際、AKB48グループにはインドネシアのジャカルタを拠点とするJKT48や中国・上海を拠点とするSNH48といった姉妹グループもあり、現地で人気を集めています。現在、AKB48は台湾人メンバーのオーディションも現地で開催しており、今後その人気は海外にもますます波及していくでしょう」
今回の総選挙での海外票の多さは、そういったAKB48グループの“国際化”の一端が垣間見られたわけだが、その一方で今後の不安要素のひとつとして囁かれているのが、“世代交代”の必要性だ。タカラヅカしかり、ジャニーズしかり、芸能界で長く輝き続ける組織は世代が交代しても新たなスターがそのたびに生まれ、その魅力を維持し続けている。