日韓外相会談が6月21日、東京都内で開かれ、韓国側は強硬に反対してきた「明治日本の産業革命遺産」の世界遺産登録や首脳会談開催などについて従来の態度を改め、容認に転換した。これはどういう風の吹き回しなのか。
翌日には安倍晋三首相と朴槿恵大統領がそれぞれ相手国の大使館で開かれた日韓国交正常化50周年記念式典に出席した。朴大統領は安倍首相の事前の出席通告を受けて出席を決めたという。韓国が一方的に方針転換したのはあきらかである。
なぜ、韓国は態度を変えたのか。一言で言えば、最近の日米、米中関係の進展によって、このままだと韓国が取り残され、置いてきぼりになる懸念が強まったからだ。
一連の事態を動かしたのは、何と言っても4月の日米首脳会談である。安倍首相とオバマ大統領は中国の無法行為に共同で対処する強い決意を表明した。尖閣諸島に対する挑発はもちろん、南シナ海の軍事基地建設も容認しない姿勢を鮮明にした。
すると、中国は「岩礁埋め立てを近く終了する」と言わざるをえなくなった。それは形だけで、軍事基地建設をあきらめたわけではないが「なんとか正面衝突を回避したい」という中国の米国に対するサインには違いない。
そこで韓国も考えた。米韓相互防衛条約を結んでいながら中国にすり寄る韓国に対して、米国で高まる不信感を和らげるためにも、日本との関係改善に乗り出した。そう見るのが自然である。
ここに韓国という国の悲しさがある。中国とロシア、海を隔てた日本と米国の4大国に囲まれて、翻弄されながら生きてきた。朴政権が中国になびいたのも「いま勢いがあるのは中国」とみたからだ。
だからといって、韓国を情けない国と見下すだけでいいのだろうか。ここは日本も冷静に考えるべきだ。