「役員報酬は何を基準にして払うものなのか。僕はその人が会社にどれだけ貢献したかによって決めるべきだと思っています」
そう語るのは、ユーシン代表取締役会長兼社長の田邊耕二氏(81)だ。「上場企業で史上最高額の報酬14億円」を手にしたことで知られる経営者である。ユーシンは自動車部品製造の中堅企業で、とくにキーレスロックの技術には定評があり、産業機械などの分野にも進出している。
1926年に田邊氏の父・善吉氏がスイッチ類の製造会社として設立。戦後、自動車部品製造販売に転じて1997年5月に東証一部上場を果たした。
田邊氏は1978年2月に社長に就任し、2006年にいったん最高顧問に退いたが、2008年に社長に復帰。2011年8月からは会長兼社長となった。
同社の2014年11月期決算の売上高(連結)は1559億8500万円。有価証券報告書には経営トップである田邊氏の報酬が14億500万円と記された。その内訳は、基本報酬7億7500万円、賞与6億3000万円で、同社の経常利益(10億5700万円)を上回る報酬額となった。
上場企業に「役員報酬1億円以上」の高額報酬者の開示が義務づけられたのは2010年3月期からで、2012年3月期にカシオ計算機の樫尾俊雄・元会長(故人)が得た13億3300万円がこれまでの最高額だったが、田邊氏はそれを塗り替えた。
ちなみに高額報酬で知られる日産自動車のカルロス・ゴーン社長(61)は、6月23日に開かれた株主総会で2014年度の報酬額が前年比4000万円増の10億3500万円だったと明らかにしたが、田邊氏の報酬はそれをも大きく上回る。