「世界遺産登録に向け、日韓両国で協力する」日本の産業革命施設の世界遺産登録阻止に動いていた韓国が、「掌返し」を見せたのは何故か。『悪韓論』(新潮新書)等の著書があるジャーナリストの室谷克実氏が、韓国の真意を読み解く。
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6月21日に開催された日韓外相会談では、日韓対立の象徴的な争点だった「明治日本の産業革命遺産」23施設と、韓国側の登録要請案件(百済歴史地域)について「ともに協力して、登録できるよう努力すること」で一致した。いちおう日本側の登録に当たっては、「朝鮮人が強制徴用された」とする韓国側主張に”配慮”することになったが、具体的にどんな表現になるかは「これからのお話」だ。
明らかなことは「国を挙げて外交戦を展開し、日本の案件登録を阻止する」と息巻いていた韓国が「登録できるよう努力する」となったこと。勝敗を付けるとしたら誰の目にも明らかだが、そこは外交、韓国には「わが条件が入れられた」と言える公式発表になっている。
謎はなぜ韓国は、ここにきて掌返しをしたのかだ。
振り返れば、今年5月4日、ユネスコ(国連教育科学文化機関)諮問機関が「明治日本の産業革命遺産」施設について世界遺産への登録がふさわしいと勧告すると韓国は瞬間湯沸かし器よろしく国際社会に向けて反対運動を展開した。
韓国政府は世界遺産委員会委員国に対し、反対票を投じるよう説得する書簡を送付。韓国国会は日本政府の行動を非難する決議を採択した。さらに朴槿恵大統領はユネスコのボコバ事務局長に「(日本の登録申請は)世界遺産条約の精神から外れ、国家間の不必要な分裂を招く」と述べ、元首として“宣戦布告”した。
韓国の言い分はこうだ。「日本が登録を求めている23施設のうち7施設で計5万7900人(*)の朝鮮半島出身者が、強制労働させられた」。しかし、これは韓国の言いがかりのようなものだ。
【*韓国政府は外相会談に先立つ6月17日、7施設での「強制労働被害者」を「1516人」とこれまでより少なく発表した】