なかでも世界的な資産インフレを見据えると、米国の株式と不動産が長期的に有望だと思います。もちろん米国株を取り扱う日本の証券会社も増え、以前と比べると投資しやすい環境になっていますが、個別銘柄に投資するよりは、経済全体の成長を享受した方がリスクは少ない。インフレで資産を目減りさせないためには、大きく殖やすことよりも減らさないことを優先すべきでしょう。そのためにはインデックス(株価指数)に連動するファンドやETF(上場投資信託)の購入をお薦めします。
また、米国の不動産そのものに投資することはなかなか難しいでしょうから、これも米国のリート(不動産投資信託)の値動きに連動するようなファンドやETFに投資する手があります。ただし、不動産は世界的にバブルの兆候が見え始めており、注意が必要です。
他の国で注目しておきたいのは、オーストラリアやカナダ、ブラジルといった資源国。昨今の原油安に伴う資源価格の下落で、それら資源国も低迷が続いています。しかし、世界の主要国が軒並みインフレを志向している以上、原油安もそう長くは続かないでしょう。
どこかで原油安に歯止めがかかれば、1バレル当たり80ドルや100ドルまで戻ったとしてもおかしくない。そうなるとインフレが一気に加速するでしょうから、その時に備えて資源関連のファンドやETFを仕込んでおけば、インフレに置いていかれるような事態も緩和できるはずです。
※マネーポスト2015年夏号