夏休みを前に学期末を迎えた大学では定期試験やレポート提出のシーズン。学生が提出したレポートを読みながら、「またコピペか……」と途方に暮れる教員が続出する季節でもある。2002年から小中高校に導入された総合学習による、調べてそのまま発表する習慣が改まらないと大学教員たちはため息をついている。
「読むと不自然なので、たいていコピペ部分はわかります。ウィキペディアをそのまま写したものが多いですね。コピペ防止に効果があるかと提出レポートを手書きさせてみたのですが、減らない。コピペの証拠としてオリジナルの文章を印刷して学生にレポートを返却し書き直させていますが、今年は再提出レポートが多くて頭を抱えました」(都内私立大学の准教授)
コピペは一部の特殊な問題ではない。今年3月には東京大学教養学部が「期末レポートにおける不正行為について」という告知を学部ホームページに掲載し話題になった。教養学部後期課程(3・4年生)の学期末課題で全体の約75%をネットからのコピペしたレポートがあったため、平成26年度冬学期履修全科目の単位が無効になった学生がいたことを知らせるその告知には、ただ処分を知らせるだけではない言葉がつづられていた。
厳しい処置をとったことを知らせたのち、「今後はこのような事案が二度と起こらないよう、学生の皆さんは学問的倫理を十分に自覚して勉学に励んでください」という異例の注意喚起で文書は結ばれている。
学生を教える側も無為無策だったわけではない。STAP細胞の論文問題が大きな社会的関心を呼んで以来、きちんとした論文・レポートを書けるようにしようという機運は高まっている。『コピペと言われないレポートの書き方教室 3つのステップ』(山口裕之)を担当した新曜社第二編集部の高橋直樹さんも「今年がもっとも反応が大きいです」という。
「昨年より今年、というようにテキストとして採用してくださる学校が増えています。大学だけでなく、高校もありますね。もともと専門書など硬い本を多く出版しているのですが、大学の先生方と打ち合わせをしていると必ずコピペ問題の話をきいていました。山口裕之先生との話でもコピペ問題の話になり、学内向けに論文指導テキストも書いていらっしゃるとのことだったので、より多くの人に使ってもらえるものを作りましょうとなりました」