一般的にTV CMでは、若い美男美女がキャスティングされるケースが多いが、最近はドラマで脇を固める松重豊や大森南朋・宇梶剛士・吉田剛太郎など、“大人の実力派俳優”がメインに起用されるケースも増えている。さまざまなキャラクターを演じ分ける彼らは、ひとつの役のヒットでイメージが固定されることは少なく、また演技力の面でも15秒や30秒といった短時間で、世界観を確実に表現する能力が高い――という、起用する側のメリットがあるだろう。
そんなトレンドともいえる“大人の実力派俳優”がメインキャストの新CM、「がんばれ、タケシ49歳シリーズ」が7月15日からOA開始された。同シリーズは森下仁丹が販売する、機能性表示食品に対応したサプリブランド「ヘルスエイド」のCMで、主人公・タケシを演じるのは、田中哲司。冷酷で計算高い悪役から、気弱で不器用・善良な人物、時としてエキセントリックなキャラクターなど、ドラマや映画・舞台で活躍する実力派。
プライベートでは昨年9月に、人気女優の仲間由紀恵と入籍。それぞれがインタビューなどで、結婚生活を楽しげに語っていることでも充実ぶりがうかがえる。とりわけ田中は、趣味のガーデニングからプランター菜園を楽しみ、そこで収穫した野菜を食卓に取り入れているといった話題もあり、こうした夫婦の健康を気遣うエピソードも、サプリメントのCMにしっくりくるキャスティングだ。
同シリーズの「すっきりしてキャッチボール」篇では、玄関前で退屈そうな様子の息子・ハルトを待たせ、トイレにこもっているタケシ。妻に「一緒に遊んでくれるのも、今の内だけよ」と声をかけられ、切なげな表情を浮かべる。その後、“すっきりして”キャッチボールを楽しむシーンでは、大きく振りかぶっても捕りやすい球を息子に投げるフォームや、キャッチし損ねた時の自然なリアクションに引き込まれる。
「体脂肪が気になる同窓会」篇では、美人同窓生との帰り道に楽しそうにしゃべっていると、「タケシくんは昔と全然変わってないね」と言われた後に見せる、なんともいえない顔と仕草。そして夜の街並みを背景に「やっべ! 終電!」と叫んで、女性を置き去りに走り去る姿と表情には、“完全に青春が、よみがえっちゃってる頭の中”が見えるようだ。
短いCMだが、ふとした表情の多くに深みを感じ「かなりしっかりした、“タケシ 49歳”の設定があるはず」と、関係者に依頼して資料を取り寄せた。そこからタケシの一つひとつの表情に、共感が高まる背景が垣間見えたプロフィールの一部を紹介したい。